とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

正義を振りかざす時に留意したいこと

2年くらい前ですが、このブログで正義について取り上げましたが、

toaruit.hatenablog.com


2年経った今、その状況に変化が見られるかというと、まぁそうでもないなという感じはしています。最近感じるのは、ある種の正義感を持って何かを主張すること自体は、別に悪ではないと思っていて、ただその主張が行き過ぎたりしてしまわないように注意することは、メチャメチャ大事だなと考えています。

少し前に、炎上を頻繁にするYouTuberのゆたぼんが、ブランデー入りアイスを食べて炎上するといったことがありました。もちろん、このことは良くはないことではあって、これダメだよねという主張は正しいでしょう。ただ一方で、自分が未成年の時にアルコールを一切口に入れていなかったかというと、おそらくそうではないという人も多いように感じます。

www.cyzowoman.com


もちろん、自分のことを棚に上げて正義を主張するべき場面もあると思いますが、その時は余程注意して主張しないと相手に全く響かないし、なんのために正義を主張をしてるのかというのを意識する必要はあります。上記の例で言うと、ゆたぼんからしてみれば、お前だって昔はアルコール口にしてたろって言いたくなる気持ちは分かるし、その時にどうすれば彼に納得感があるような指摘ができるかというのは、主張する側は考える必要あるかなと感じます。

今は個人が、人への批判を発信することが容易な時代です。ただ、それはある種の罰を与える行為となりうると感じます。なので、正義を主張する時は、その罪と罰について、念頭に置く必要があると個人的には考えています。人は他人に対して、悪いことをせず迷惑をかけないような生き方をするのは難しいです。悪いことだってしてしまう時はあります。だから、他人が悪いことをしてしまった時は、その罪は自分は犯したことは無いのかとか、過剰に批判されるまでに重い罪なのかなど、意識する必要はあると感じます。
罪と罰が釣り合わないような批判の仕方は、やはり健全でないと思いますし、悪いことした側もなんで自分だけこんなに批判されるんだという感情にはなるでしょう。法律という最低限のルールはあるにせよ、罪と罰の絶対的な基準はあるわけではないし、時代によっても変わるとは思います。ただ、それに対しては、この批判は釣り合っているかというのを絶えず思考することが、お互いの納得感というか健全な批判への第一歩な気はします。

DXと業務システムについて考えてみる

以前にこのブログでDXについて、取り上げました。その際にDXをやる意義としては、オンラインが当たり前になった時代の人の行動パターンに対応すること、つまり「体験」を良くすることと関係性があると書きました。

toaruit.hatenablog.com


顧客に対する体験価値を向上するのもそうなのですが、DXの文脈としては社内業務の変革という文脈も含まれていると私は考えています。では社内業務における体験価値とはどのようなものか。前にこのブログの内部統制の記事で、紹介した下記記事で

日本の組織の強さは、現場がその知識に基づいて、ルールや手順を柔軟に変えていくことにある。ルールををトップダウンで決めてしまうと、企業としての柔軟性が失われてしまう。まさに角を矯めて牛を殺すという結果になってしまう。

とある通り、現場がその状況に応じて柔軟性を持つことが、日本では大事なのかなと私は感じます。

bizgate.nikkei.co.jp


そこで業務の現場で行われたITの対応としては、パッケージ(ERP等)のカスタマイズやスクラッチ開発が挙げられます。とはいえ個別対応を行いすぎるとITの導入コストが上がってきますし、コストを抑える為に業務をパッケージに合わせるといった対応が必要になってきます。加えて頻繁にシステムの変更を行うといったことも簡単ではないと思うので、「ルールや手順を柔軟に変えていくこと」は、行いにくい状況であったのかなと推測します。

biz.moneyforward.com


そんな業務システムの課題ですが、一昔前にこの課題に取り組んでいた日本企業があります。業績が芳しくなくなってしまい今は会社も分割されてしまった、ワークスアプリケーションズです。ワークス社では、ERPをノンカスタマイズで日本企業に導入できることを、目標としていました。この考え方はけっこう支持されて、多くの企業の業務をパッケージに取り込んだのですが、ただやはりベンダー一社で実現するには無理があったようには感じます。

www.pro-bank.co.jp


今「ルールや手順を柔軟に変えていくこと」として取れる施策はベンダー頼りにするのではなく、やはり自分達であるべきデジタル利用を実現していくDXの文脈になっていくと考えています。これを実現するテクノロジーの要素となるのは、クラウド・マイクロサービス・ノーコード辺りになってくると思います。逆にこれらの要素がようやく使いものになってきたからこそ、DXが実現できそうという議論になってると感じます。

ERP自体の位置付けも変わってくるでしょう。下記の記事のように、業務の網羅性よりは、いかに連携しやすいか、データにアクセスしやすいかといった部分の重要性が増してくる気はします。SAPがデータ基盤として、HANAを開発したのはこういった流れからかなと考えています。

www.biz-integral.com


けっこう議論になるノーコードについては、個人的にはより活用されるべきと考えています。ただ、ベンダーに開発や運用を丸投げするのではなく、自分達で業務に合ったように変更できるといった目的意識が重要と思っています。下記の記事で述べられているように、業務システム全体をノーコードで運用すると言うよりは、

www.itmedia.co.jp

ノーコードはSaaSよりも柔軟に業務に適用できることから、ニッチな現場業務に向いているし、さまざまなツールの中から業務に合ったものを選べますが、ツールが非常に増えていて最適なものを選び取るのが現実的に難しい状況

の時に力を発揮すると感じますし、使いどころを間違えなければ有用なツールになると私は考えています。

コミュニティマーケティングについて考えてみる

最近は、いわゆるコミュニティマーケティングの手法が行われることは、珍しくなくなりました。コミュニティマーケティングとは共通の興味等を持っている人を集めて、マーケティング等に活かす施策になります。

engage-mate.jp


少し前はコミュニティの一種であるオンラインサロンも賑わいをみせていましたが、最近はそのブームも少しおさまった感はあります。本来コミュニティは双方向でコミュニケーションを発生させるべきが、一方的な発信に留まったり、そもそも何について会話するのかが明確でない部分が、やはりあったのかなとは感じます。
なので、ただ興味を持っている人を集めるだけでは、今はコミュニティの価値を上げることはかなり厳しいのかなと思います。では今はどういう状況かというと、下記の記事にあるように、

やりたいこと起点で人を募集して、集まった人で行う。友達とやることの関係性が逆転している

集まってから何をやるか考えるのではなく、何をやるかを決めてから集まるというアプローチにシフトしている気はします。

dentsu-ho.com


コミュニテイの文脈とは少し逸れるかもしれませんが、下記の記事にあるココナラのサービス設計である通り、

やってしまいがちなのは、あらゆるカテゴリーを展開し、価格設定も自由にする、オフラインでも、オンラインでもマッチングできるようにしようとすること。ただ、それだと変数が多すぎて、ほぼマッチングしません

ので、やはり自由度が高すぎるとユーザを掴むのは、難しいようには思います。

careerhack.en-japan.com


そして、上記記事にて以下の記述がある通り、

カテゴリーは開放するが、価格上限は精緻なデータを見ながら設定する。マッチングもオンラインに絞る。そうすることでユーザーが迷わないし、マッチングの体験が生まれやすい。そしてコツコツと出品数、レビューなどデータを溜めることで、あらゆる取引において相場が生まれ、適正価格や求められるアウトプットの質が見えてくるようになりました

コミュニティにおいても同様で、ユーザがいかに迷いにくくする仕掛けが求められる気はします。だから、どういうことをやりたくて、どういう人が集まって、どうコミュニケーションを発生させるかという設計がコミュニティにおいても必要と考えてて、ここら辺の設計無しにとりあえずユーザを集めるようなことをやっても、やはり過疎ってしまうのかなとは感じます。

性格の不一致について考えてみる

今の時代は、離婚する人も珍しくなくなってきてますよね。私と同年代の人でも離婚を経験した人は普通にいるし、離婚する事に対して別にいいんじゃないという感覚にはなってきています。そんな離婚ですが、理由として一番多いのはいわゆる「性格の不一致」だそうです。

mikata-ins.co.jp


そもそも性格なんて一致することの方が珍しいし、不一致なんて別に普通にあるのに、なぜこれが一位になってしまってるのか少し不思議に感じました。おそらく原因は性格の不一致ではなく、どこか別の点にあるように個人的には思います。
相手が嫌になる理由としては、下記の記事にあるような「生理的に無理」という状態になる事なのかなとは感じます。この「生理的に無理」ですが、なぜこんな状態になるのかというのは、論理的に原因を考察するのは中々難しいですよね。

next.rikunabi.com


上記記事でも触れられていますが、一つ考えられる原因は「孤独」に感じる事だと思います。前に私のブログの下記の記事で、孤独について書きましたが、現状について楽しめないと孤独の感情が大きくなって、社会から取り残されたような感覚が出てくるように思います。

toaruit.hatenablog.com


結婚する理由の一つとしては、孤独な状況を脱したいというモチベーションからという人もいるでしょう。ただ、結婚しても結局は孤独になるような状況はありえてしまって、自分が期待した状況と違う結果になるということは往々にしてあると思います。
なので、孤独の解消のために結婚という手段を選択するのは、あまり良くない結果になる可能性があるということです。結婚とは下記の記事で言うところの「所属」的な考えと私は感じていて、所属による安心感を得るのは今の時代にあまり合ってないのかもしれません。

toyokeizai.net


今の時代は会社や学校といったいわゆる所属の縛りが、どんどん緩くなってきていると感じます。会社に所属せずフリーランスで働いてる人は珍しくなくなったし、会社に所属していてもいずれ転職というのも多いでしょう。所属という考え方は、より一時的なものというのに変わっていくかもしれません。

離婚についても、相手のことが嫌になれば離婚しても別に良いかなとは思います。自分も相手も時間が経てば変わることもあるだろうし、社会が目まぐるしく変化していく現状で、人が変わることは致し方ないことではあります。ただ、所属という縛りが弱くなっていく中で、相手ではなく自分がどうあるべきかみたいなことは、一昔前よりもちゃんと考えることが必要な時代だろうなとは感じます。

リファクタリングについて思うところ

かなりのシステムの現場において、コードの保守性が低いといったことは課題に上がることが多いように思います。私の経験してきた現場の多くは、この保守性の低さについてどうしようかと、頭を悩ませてたような雰囲気はあります。
そういう時に、よく挙がる施策としてはリファクタリングです。リファクタリングのイメージはざっくり下記の記事にあって、クラスやメソッドなどを機能拡張等を行いやすいよう、整理するものになります。

style.biglobe.co.jp


リファクタリングの必要性を認識している現場は多いと思いますが、今やってる開発と、どちらを優先させるかという判断に悩まされることはあるでしょう。下記の記事で指摘されているように、リファクタリングを行うことが直接利益を生み出すわけではなかったり、最悪の時は作り直した方が良いという判断も出来たりはするので、コストをかけてやるかという話にはなりがちかなと思います。

nagise.hatenablog.jp


個人的には以下の記事で触れられているような、保守性が経営指標にどのように効いてくるのか、可視化するような考え方は良いなと思います。自分達が作っているものが、経営に対してどのように影響するのか、その観点無しでは中々突っ込んだ議論にはならない気がします。ちゃんとサービスを育てていくという方針であれば、ビジネスとシステム開発の関連を紐づけるのは、いつかは通らなければいけない道かなと感じます。

zenn.dev


ビジネスとシステム開発の関連という観点でいくと、やはりドメインの整理は避けて通れないと思います。ドメインの整理を行わないまま、リファクタリングを行うのは意味が無いとは言わないまでも、片手落ち感は個人的に感じてしまいます。今の時代、ビジネスの状況は刻々と変わっていくので、システムをどう追従させるかという観点は重要と考えています。
現実世界のビジネスはシンプルで無いことも多いです。ビジネスが複雑になっていく以上は、システムも複雑になってしまうことは致し方ないことではあります。ただ、ビジネスの複雑さに対してシステム側で手を打たないというのは、やはり違うかなと個人的に感じます。以下の記事にあるような複雑さにどう対応するか、その観点でリファクタリングをどう進めるか考えるのも大事かなと思います。

sg.wantedly.com

今の時代(2022年)の人材管理について考えてみる

今年も、下半期になってぼちぼち2022年も終わりに近づいています、早いですね。色々と考えもしないことが起きたり、世の中の変化もあったりで中々せわしない年に、なってる気はします。まさに、VUCAの時代という感じはしますね。
今の時代、今までと同じようなことをやっていても、生き残れる保証が無いような感じが強まっています。VUCAの時代にどのような人が求められるか、ざっくり以下の記事にまとめられていますが、デジタルを活用したり正解の無いような答えを探したりする、といったことが挙げられています。

next.rikunabi.com

とは言え、これだけだとちょっとフワッとしているので、もう少し今の時代の人材管理について掘り下げてみたいなと思います。

基本的にVUCAの時代には未来予測がかなり難しく、例えば数年後こうなるだろうからそれに向けて準備するといった方法が、取りにくくなっている感はあります。だとすると、今どうするかが重要になってきて、以下でMatzが言っているような、

未来予想はできないよ、だけど、現在見えている変化には対処できるよということです。継続することは大事で、心配しなくていいよというのが今日の話でした。

という意識は、かなり参考になるかなと感じます。

logmi.jp


「現在見えている変化への対処」という観点でいくと、その時点で会社で保有している資産や、設定されている人材ロールで対応できない可能性はあります。結局、会社側もどうするべきかが分からないという状況は、珍しくなくなるでしょう。だから、よく言われる「自律」が必要であり、自立のためにどのように人材管理していくかという点は大事かなと思います。

下記の記事にあるように、どのような活動をしてどのような成果を出して、目標となる成果を出すために今のスキルとどのようなギャップがあるか、などなどプロセスを丁寧に管理していくのが、遠回りだけど早道なのかなとは感じます。

logmi.jp

また、変化に対応していくためには真っ当な意見をいう人も、もちろん大事ではありますが、下記の記事で言及されているような

人と違う発想で、人に見えていないものなんだけど「これはいけるだろう」みたいなものに、ベットできる、賭けられる人

という人材も必要になってくるでしょう。もちろん、全員が全員、人と違う発想では収拾がつかないし、どういう人材をどのようなバランスで組織に配置していくかという観点も、組織としては大事なのかなとは思います。

logmi.jp

ナラティブについて考えてみる

最近、ナラティブというワードをちらほら見かけるので、今回少し取り上げてみたいと思います。ナラティブとは何かと言うと、下記の記事に概要がまとめられていて、語源的な意味合いだと「物語」になります。つまり、物語性を意識して、コミュニケーションとかマーケティングをやりましょうという意味で、使われることが多いかなと感じます。

prdx.co.jp


以前にこのブログでは「パルス型消費」について取り上げたのですが、ナラティブの考え方は、パルス型とかなり対局の位置にあるように感じます。もちろん今でもパルス型のようないわゆる衝動買い的なのは全然あるとは思いますが、それで思ってたのと違うといったことは起きてしまうでしょう。ので、消費者側も耳障り良く聞こえる言葉が書かれた広告には、慎重な姿勢を見せてきているのかもしれません。

toaruit.hatenablog.com


消費者も年々賢くなってきているので、ある種の売りつけてやろうみたいな意図は、かなり読み取られてしまう気はします。逆に、自分達が何をしたいのか丁寧に伝えることが、顧客等を獲得するための正攻法となっている雰囲気は感じます。

markezine.jp


というわけで、ナラティブの考え方が重要視されている背景を書いていきましたが、これだけだと結局どうすれば良いのかピンとこないと思うので、個人的に感じたナラティブの事例を紹介したいと思います。

一つ目は、下記の記事にあるスーパーをやってるオーケー社の事例です。オーケー社では商品に対して、なぜその商品がその値段でその品質なのかというのを情報提供しています。消費者をある種騙して買わせるということをさせないというのは、ナラティブの特徴かなとは個人的に感じます。

www.itmedia.co.jp


二つ目は、下記の記事にあるコスメキッチンの例です。オーガニック商品を売り出す時に、Web広告でパルス型消費っぽく買わせることはけっこう多い気はしますが、コスメキッチンでは店舗の雰囲気を重要視しました。店舗の雰囲気を軸にして、オンラインでもマーケティングすることで、物語の一貫性というか軸がブレないようにするという姿勢を大事にしていると感じます。

markezine.jp