とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

ブルーオーシャン実現のための研究開発・教育の重要性

前回の記事では、日本の生産性や競争のレッドオーシャン環境について書きました。

toaruit.hatenablog.com

今回はその状態を脱却できるブルーオーシャンを実現するための、素地について書いてみたいと思います。

結論から言うと、ブルーオーシャンを実現するためには教育・研究開発が重要というのが私の考えです。前回の記事でも書いた通り、既存事業に対して新たな観点を加えるのは、情報収集・人材・技術といった点で素地の強化が必要と考えられるからです。また昔書いた以下の記事でも触れましたが、「競争力の強化には、研究開発や知的連携に対する政策支援が有効」という点も根拠として挙げられます。

toaruit.hatenablog.com


ここら辺の投資をしっかりやってきたのが中国です。今や日本を上回るGDPの水準まで伸びていますが、これを下支えしたのが研究や教育分野への投資と私は考えています。
以下の記事は2010年に研究開発の投資について書かれたものになりますが、狙いとしてはそれなりに当たったのではと感じます。特に地場企業による研究開発投資は、経済の底上げという面で成果が出ていたと思います。当時は国有企業が多くあったというのは、もちろん一つの要因として挙げられはしますが。

www.jri.co.jp

中国はR&D支出に占める地場企業の割合が高いことは前述したが、企業のR&D支出を所有形態別にみると、実は国有および政府が株式を保有する企業による支出がその46.7%を占める。

では今の日本で国有企業を増やして、研究開発を活発化させるという政策を取れるかというと、それは難しいでしょう。第三セクターエルピーダメモリ等々の失敗事例がある通り、国策企業をきちんと軌道に乗せることについて今の日本はかなり不得手としているように感じます。当座で取れる対応としては、政府が企業に対してどう支援するかというのが大事な点になってくるでしょう。

もう一つの観点としては教育です。以下の記事によると、中国では「国の教育予算をGDPの4%以上にする目標」を以前から設定していて、きちんと金をかけているから効果も出ていると感じます。

www.afpbb.com


日本の場合は金をかけても効果が出ないという意見もあるでしょうが、金で解決できそうな問題はあるように感じます。例えば教員の待遇を上げて、優秀な人がくるようにするなどです。教育は長期的に投資しないと中々効果が出にくい領域ですが、中国は10年以上前から力をいれてきたわけで、その差が今出てるように感じます。

では日本の地方はこういった危機感を持ってないかと言われると、そんなことはないと思っています。以下は鳥取県で少し前にまとめられた政策ですが、この記事で書いていたような課題がまさに触れられています。

www.pref.tottori.lg.jp

企業と大学等をつなぐ調整機能が弱いため、研究開発成果の事業化に課題があります。知的財産の十分な理解とビジネスへの活用が少ない状況

国内外に打って出る力強い県内各産業等や、多様な産業分野の連携による新たな産業の創出等に当たり、それらを支える高度な知識・技術・能力を持った人材が不足

おそらく鳥取県だけでなく、同様の課題は各地方にある気はします。金融政策だけでは限界がある中、すぐに成果が出ない長期的な投資にいかに金を使えるか。新たな知見を発見できるような素地をきちんと整備しないと、ブルーオーシャンは中々実現できないのではというのが、今の私の考えです。