とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

天才の創造性を政治に活かすためには

以前にこのブログで、天才の創造性をどう活かしたら良いかについて書いてみましたが、

toaruit.hatenablog.com


今回は少し政治にフォーカスをあてて考えてみたいと思います。台湾ではオードリー・タンのような超天才が政治の中枢にいて色々な取り組みを行ってますが、日本ではまだまだ難しいかもしれません。それは日本に天才がいないからというわけではなく、そもそも日本天才を必要としている組織構造にまだなっていないからと私は感じます。
では日本は今どのような構造なのか、ちょっと私見ですが書いてみます。政治に竹中平蔵さんが関わってくるようになって行われた政策の方針が以下の記事にある「トリクルダウン」です。つまり、大企業や富裕層が豊かになればその余剰で投資が発生し、経済も豊かになるというものです。で、この政策をここ何年か続けてきて日本は豊かになったか、おそらく豊かになったと答える人は少数でしょう。

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投資が発生しない状況下でのトリクルダウン政策の結果、何が発生するかというと「富の独占」になります。富を独占するものが投資をしないということは、いかに安く経営資源や労働資源を調達して利益を上げるか、というのが彼らの主眼点となってしまいます。少し前に、政府がオリンピックのための開発エンジニアを、民間ではあり得ない賃金で採用しようとしたことは記憶に新しいところです。政府や大企業は今もこの論理で動いているので、この構造を変えない限りは天才がいたところで安く買い叩かれるだけとなるので、そもそも天才がいたとしてもこういった組織とは関わりたくないと感じるでしょう。

今はIT活用のモデルケースとして取り上げられている台湾ですが、一昔前の台湾でも今の日本と似たような状況であったわけで、それを変えようとしたことがオードリー・タンの抜擢へとつながったわけです。オードリー・タンを大臣に抜擢したのが「蔡玉玲」という政治家で、彼女がいなければおそらくオードリー・タンが政治に入ることになかったように思います。

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日本に今必要と思われるのはオードリー・タンではなく蔡玉玲で、ちゃんと能力がある人を引き上げられる権力を持った人です。日本でも「未踏スーパークリエータ」という素晴らしい取り組みがあって、私なんかは到底かなわないような天才が毎年のように発掘されています。こういった素晴らしい人材を、政治の世界で重要なポジションと高い報酬を与える、これをやるだけでも日本のITであったり政策は、随分変わるだろうと私は感じます。

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