とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

人件費を削ることの是非

前回の記事では、コストカット全般について取り上げました。
https://toaruit.hatenablog.com/entry/2020/07/17/003023
今回は人件費について、フォーカスして書いてみたいと思います。

会社の業績が下降してるとき、だいたいのケースで人件費を削ることが議論に上がると思います。もちろん、短期的には成果を得やすいですが、中長期的にはどうなんだろうと思います。例えば、業績悪いから全社員の給料を一律10%カットする、おそらく大半の社員の人は業績悪いからしょうがないかと考えるかもしれません。ただ、そこで短期的な利益を得て、次につながるか。その点についてもう少し考察してみます。
下記の記事にあるマックの例だと、今のCEOのカサノバさんが就任したときは、大赤字でした。普通だとそこでよりコストカットするところを、カサノバさんは給料をあえて上げました。その後どうなったかは、ここで詳細を書くまでもなく、V字回復が実現されています。

【経営危機なのに給料を上げたのはマクドナルドだけではなかった 改めて考えたい「天邪鬼経営」の大切さ】
https://limo.media/articles/-/4874

じゃあなぜ給料が上がったら生産性が改善されたのか、詳しくは下記の記事で解説されています。単純作業についてはIT等でどんどん効率化され、仕事の内容が機械的に判断できないものの比重が高くなってきてます。では、人が行うこの非機械的な仕事について生産性を上げるにはどうしたらよいか、そこには動機付けが大きく関係してます。給料を上げることは、手っ取り早く動機付けを上げる一つの手段となります。

【日本人の生産性の低さは「給料」を上げれば全て解決する】
https://diamond.jp/articles/amp/210313

 

人件費を下げることは、人からゆとりを奪います。ゆとりを奪うことは、新製品や新しいサービスを作る力が削がれていることと、下記の記事で触れられています。ゆとりが無い人が作った新製品を誰が好き好んで使うでしょうか。90年代の後半くらいから、日本のクリエイティビティは確実に低下していってると私は思います。

中国企業の台頭と日本企業の競争力低下】
http://net.keizaikai.co.jp/archives/13205

 

企業が財務をとりあえず改善したいがために、人件費をカットしたい気持ちは分かります。ただ、それに対して歯止めをかけられず、ズルズルと来てしまったのが日本の現状と私は考えます。企業がこのような行動をしてしまうのを止めるのが政治の役割ではありますが、残念ながら、それを助長させる政策を今までとってきてしまいました。
今現在そういった企業の行動であったり、政策が上手くいってないのが見えてきたわけです。なので、この20年くらいの間の失敗をどうリカバリーするか、そろそろ真剣に考えるときなのではないでしょうか。