以前にこのブログでDXについて、取り上げました。その際にDXをやる意義としては、オンラインが当たり前になった時代の人の行動パターンに対応すること、つまり「体験」を良くすることと関係性があると書きました。
顧客に対する体験価値を向上するのもそうなのですが、DXの文脈としては社内業務の変革という文脈も含まれていると私は考えています。では社内業務における体験価値とはどのようなものか。前にこのブログの内部統制の記事で、紹介した下記記事で
日本の組織の強さは、現場がその知識に基づいて、ルールや手順を柔軟に変えていくことにある。ルールををトップダウンで決めてしまうと、企業としての柔軟性が失われてしまう。まさに角を矯めて牛を殺すという結果になってしまう。
とある通り、現場がその状況に応じて柔軟性を持つことが、日本では大事なのかなと私は感じます。
そこで業務の現場で行われたITの対応としては、パッケージ(ERP等)のカスタマイズやスクラッチ開発が挙げられます。とはいえ個別対応を行いすぎるとITの導入コストが上がってきますし、コストを抑える為に業務をパッケージに合わせるといった対応が必要になってきます。加えて頻繁にシステムの変更を行うといったことも簡単ではないと思うので、「ルールや手順を柔軟に変えていくこと」は、行いにくい状況であったのかなと推測します。
そんな業務システムの課題ですが、一昔前にこの課題に取り組んでいた日本企業があります。業績が芳しくなくなってしまい今は会社も分割されてしまった、ワークスアプリケーションズです。ワークス社では、ERPをノンカスタマイズで日本企業に導入できることを、目標としていました。この考え方はけっこう支持されて、多くの企業の業務をパッケージに取り込んだのですが、ただやはりベンダー一社で実現するには無理があったようには感じます。
今「ルールや手順を柔軟に変えていくこと」として取れる施策はベンダー頼りにするのではなく、やはり自分達であるべきデジタル利用を実現していくDXの文脈になっていくと考えています。これを実現するテクノロジーの要素となるのは、クラウド・マイクロサービス・ノーコード辺りになってくると思います。逆にこれらの要素がようやく使いものになってきたからこそ、DXが実現できそうという議論になってると感じます。
ERP自体の位置付けも変わってくるでしょう。下記の記事のように、業務の網羅性よりは、いかに連携しやすいか、データにアクセスしやすいかといった部分の重要性が増してくる気はします。SAPがデータ基盤として、HANAを開発したのはこういった流れからかなと考えています。
けっこう議論になるノーコードについては、個人的にはより活用されるべきと考えています。ただ、ベンダーに開発や運用を丸投げするのではなく、自分達で業務に合ったように変更できるといった目的意識が重要と思っています。下記の記事で述べられているように、業務システム全体をノーコードで運用すると言うよりは、
ノーコードはSaaSよりも柔軟に業務に適用できることから、ニッチな現場業務に向いているし、さまざまなツールの中から業務に合ったものを選べますが、ツールが非常に増えていて最適なものを選び取るのが現実的に難しい状況
の時に力を発揮すると感じますし、使いどころを間違えなければ有用なツールになると私は考えています。