アドテク(アドテクノロジー)に関して、最近あまり技術的にこれといったトピックは出てきてない感があります。やはりサードパーティークッキーの代わりとなるものを、技術的に実現するのは中々厳しい感じはしています。Googleが、以下の記事にあるような「プライバシーサンドボックス」の実装は進めているようですが、他のブラウザが追従するかはどうかなという感じです。
日本のアドテク界隈での取り組みだと、以前にこのブログで触れた、コンテクストターゲティングや、認証をセットにしたものが挙げられます。ただ、サードパーティークッキーの代替として、中々決め手に欠ける部分はある感じはします。
もちろん、上記で挙げたテクノロジーが流行る可能性はゼロではないですが、今の潮流から鑑みるにどうかなとは感じます。今の流れとしては「プラットフォーム」をベースに広告面を提供してる企業が強いと考えています。ファーストパーティデータを持っていて、ユーザーでターゲティングを行うのが、効果が出やすいからと思います。少し前の記事ですが、広告売上の半分近くを、プラットフォーマーが占めている状況で、おそらく現状もそのような感じかなと。
広告主も、よく分からないサイトに広告を出すよりは、ダイレクトにコンバージョンに結び付けられるようなプラットフォームへの、ニーズは高くなってるのかなと思います。特に直近のAmazonの広告収益の伸びは、その傾向をかなり反映してる気はします。
アドテク企業が運営するいわゆるアドネットワークは、少し厳しくなっていくかもしれません。もちろんすぐに無くなることはないとは思いますが、直近ではGoogleや楽天など独自プラットフォームがありファーストパーティデータを持ってるところに、広告主が寄っていく傾向にある感じはします。ちなみに、アドネットワークの概要については、下記の記事を参照ください。
媒体側としても、SSP(Supply Side Platform)や他社のアドネットワークの利用から、独自プラットフォームを作るような動きは出てくるかもしれません。例えば、以下のような集英社の事例などです。
というわけで、アドテク企業の一つの対応としては自前でアドネットワークを構築するよりは、各種プラットフォームをどう効率良く利用するか、という観点で機能検討する流れになるかなと考えています。現状でも、そこそこの数のプラットフォームがある中で、広告運用をする手間を削減するニーズはあるかなとは感じます。
また、異なる文脈でいくと、生成AI連動型広告への対応が挙げられます。まだ検索エンジン側もテスト段階だと思いますが、以下の記事で挙げられているように、
生成AIの場合は、「これが欲しい」と発信して出てきた答えに対して、「AじゃなくてB」「Bの中でもC」といった形でやりとりがあるので、劇的にコンバージョンレートが上がると予想されます。
という効果は見込めるかなと私も感じます。なので、アドテク企業の振る舞いとしては、検索エンジン側が広告を出すロジックや、どのようなプロンプトが入力されているか、といった情報を押さえるのは重要と思います。個人的には、生成AIが検索エンジン以外の各種サービスに組み込まれるという未来を想定しています。その時にアドテク企業が、生成AIに組み込める広告配信機能を開発できていれば、生き残れるチャンスはかなり有るかなと考えています。