とあるIT屋の独白

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ジャニーズ事務所に関する所感

先日、行われたジャニーズ事務所の記者会見と世間の反響はすごいものがありますね。ヒガシやイノッチが企業のトップとして謝罪することになるなんて、誰が予想できたでしょうか。私はちょうど、彼らがテレビで活躍してた時にテレビを観ていた世代なので、中々複雑な心境ではあります。
今の若い世代の人はあまり馴染みがないかもですが、ヒガシと言えば押しも押されぬジャニーズの大スターです。まさに絵になる男というか、彼が出るドラマや映画は主役級だし、少年隊をやってた時は、SMAPTOKIO、V6の世代のメンバーで彼に憧れて入った人も多いでしょう。一方でイノッチはヒガシのようなメインストリームではなく、どちらかと言えばV6の中でも控えめな位置取りをしていた印象はあります(そもそも、カミセンのメンバーの方が前面に出ていた構成なので、致し方ない面はあるのですが)。そんなイノッチが、まさか会社の中心人物になるとは、そして大スターのヒガシと一緒に記者会見出るとは、こんな展開を誰が思いつくのかという話ですよね。

というわけで、せっかくなので何点か観点を挙げて、つらつらとジャニーズ事務所についての所感を書いてみたいと思います。

◼️タッキーについて

まず、ここまでの状況になるまでの経緯の引き金として、タッキーの存在を抜きに語るわけにはいかないでしょう。ご存知の通り、タッキーはジャニーさんから後継者として指名されて、数年前から事務所の副社長をやっていました。それが2022年の11月に、突然辞めることになり大きなニュースになりましたね。個人的にはタッキーが辞めてから、ジャニーさんの負の部分が段々と表に出ていくようになったと感じています。タッキーと関係が近いキンプリメンバーの退所騒動があってからの、カウアン岡本の告発につながっていくわけです。

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全くの推測ではありますが、タッキーがあのまま残っていたら、ここまで話が表沙汰にならなかったと私は考えています。それはタッキーがジャニーさんの思想を最も色濃く受け継いだ人物であり、今のようにジャニーさんの威光が地に落ちるのを、タッキーは良しと感じてないはずと私は思います。では、なぜ表沙汰になったかというと、それはジュリーの方針だと考えています。以下の失敗小僧先生の動画で触れられていますが、ジュリーとメリーはこの件の対応で対立していた可能性もあるかなとは感じます。ジュリーはきちんと認めたいとずっと感じてたのではないでしょうか。

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以下が対立に関する、調査報告書での記述です。

ジュリー氏は、1993 年にジャニーズ事務所に入所し、マネージャー、スタイリスト、通訳等の業務を担当した後、1998年3月に取締役に就任した。ジュリー氏は、メリー氏との関係が悪化して、2008年12月に代表取締役を辞任し(取締役の役職は継続)、いったんジャニーズ事務所から離れ、株式会社ジェイ・ストーム(以下「ジェイ・ストーム」という。)の事務所で自分の管轄していたタレントの仕事をするようになり、ジャニー氏やメリー氏と疎遠になったが、2014 年 3 月に代表取締役に再度就任した。ジュリー氏は、代表取締役に再度就任した後も、メリー氏らとの関係は好転することなく、メリー氏のいるジャニーズ事務所本社には出勤せず、自らが代表取締役を務めるジェイ・ストームの事務所に出勤し、同所で勤務していた。

◼️ヒガシが社長をやることの是非

では、タッキーがいなくなってしまった今、誰が社長やるのかという話になると、やはりヒガシがやるのは妥当かなと思いました。株主であるジュリーが院政を行うのではという意見もけっこうありますが、個人的にはその可能性は現状かなり低いように思います。それは、ヒガシとジュリーの関係性を少し深掘りすると分かると思います。
まず、ヒガシとジュリーはほぼ同い年で、以下の記事にある通りジュリーがまだ大学生の頃から、一緒に仕事をしていたという関係です。若い頃に一緒に仕事をした仲間がいる人は分かると思いますが、同年代の気心知れた仲間に院政をしくという行動をするかという話になるかというと、多くの人はそんなことしないと答えるでしょう。

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また、それから何十年も一緒に仕事をしてきた深い仲であれば、株主という権力を振りかざしてその関係を壊すことが、いかに愚かな行為であるか容易に想像はつきます。なので、よほどのことが起きない限りは、記者会見で話していた通り当面はヒガシが意思決定をしていくという形になるかなとは思います。
ジャニーさんのことを表沙汰にすることに、ヒガシが同意したのは会見の内容から明らかですし、おそらくヒガシもこの件では葛藤があったと推測されます。彼が今まで組織的な話から距離を置いていたように、社長を断ることもできたでしょう。ただ、同年代の戦友を何とかしたいという思いから、彼はこの役を引き受けたように私は感じました。

◼️記者会見とその後の反応について

ジャニー・メリー体制の時と同様に、メディアコントロールや訴訟等を行ってジャニーさんの負の部分が出ないような対応を続ける道も当然あったと思います。ジャニーズ事務所を存続させようと思ったら、多くの人はこちらの道を選ぶと思います。ジャニーさんもメリーも、もうこの世にいないし、過去のこととして蓋をするというのが無難といえば無難でしょう。
しかし、最終的にヒガシ・ジュリー・イノッチは無難な道を選びませんでした。告発を否定せず、自ら事実確認をして、先日の記者会見で過去の罪を認めました。これが茨の道であることは、おそらく彼らは認識しているでしょう。また、この選択にあたって組織の人からの反発はかなりあったように思いますし、決断にあたっての葛藤は相当にあったでしょう。ジャニーズ事務所の神であるジャニーさんの威光は地に落ちるし、多くの批判を受けるし、お金も出ていく。普通に考えたらデメリットしかない選択肢を彼らは選んだわけです、コンプライアンスや人として正しい道を選択するために。なので、私は彼らの今回の行動はコンプライアンスの模範だと思うし、最大限の賛辞を送りたいと感じました。
もし、ジャニーズを使っている企業がコンプライアンスを重要視しているなら、ジャニー・メリー体制の時代にメディアコントロール週刊文春への訴訟を行っているような時に、契約を破棄すべきです。その時は上手く隠せてるから良しとして、過去の罪を認めてこれから正しい道を歩もうとしてる段階で、コンプライアンス上問題あると指摘して突き放すのは、ちゃんちゃらおかしい話です。

組織において、表沙汰にしたくないことは多かれ少なかれあると思います。それを全て明らかにすべきとは私は思いませんし、過去のことに蓋をするという行為もある種致し方ないこととは感じます。ただ、仮に自分達がそのような行動を取っているにもかかわらず、コンプライアンスという名目を掲げて今のジャニーズを叩くようなことをしているなら、私は非常に許せないことと感じます。
正しいことをやろうとしてる人が損をする社会は、やはり不健全だと思います。もちろん、記者会見の内容も完璧ではないし、ヒガシ・ジュリー・イノッチも完璧な人間ではないし、批判しようと思えばいくらでもできるでしょう。ただ、世間は厳しい目を向けつつも、彼らの取った行動の背景や意義をよく考え、正しい行動はきちんと認めてあげるべきと感じます。そういったフラットな目線を持てるかが、今後の社会の行く末を左右すると思うし、ジャニーズ事務所が今後どうなるかは、我々一人一人の意識にかかっているように私は考えています。