とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

2023年にカスタマーサクセスの重要性についてあらためて考えてみる

少し前ですが、クックパッドがリストラを行ったことが話題になりましたね。エンジニアやデザイナーといった、サービスの根幹に関わる人材を手放すということは、状況としてかなり悪そうな雰囲気であることが推定されます。

www.itmedia.co.jp


私的に感じるのは、プロダクトとしてクックパッドが悪かったということではないと思っています。むしろ優秀な人がたくさん在籍してた会社ですし、ユーザー数もそれなりの数がいるので、品質としては高い水準にあると考えています。では、何が原因かと言うと、個人的には外部環境の変化に対応できなかった、というのが感じるところです。特にここ数年でカスタマーサクセスの重要性は、ITのサービスを運営する上で高まってると考えていて、その点でクックパッドは後手に回ってしまったかなというのが私の所感です。

カスタマーサクセスについては、かなり昔にこのブログでも取り上げましたが、今はかなり日本で認知を得ている役割だと感じます。ただ、一般的になってるがゆえなのか、話題として取り上げられることも最近は少なくなってる感はありますが、個人的には話題になってた時よりも格段に重要性が高くなってると思います。
あらためて、カスタマーサクセスの役割について触れると、以下の記事で解説されています。カスタマーサポートと同様に問い合わせ対応等も行いますが、重視すべき指標としては、解約率の低下、アップセル、クロスセルなどが挙げられます。

aisaas.pkshatech.com


では、なぜ日本においてカスタマーサクセスの重要性が上がってるかというと、SaaSをはじめとしたITのサービスがかなり一般化し、プロダクトの機能で勝負していくのが、以前よりも厳しい環境になっていると考えられるからです。もちろん、機能の作り込みも大事ですが、それだけで資金力ある企業や海外ベンダー等と勝負するのは、かなり分が悪くなることが想定されます。
どうやってプロダクトを展開していくかの観点の一つとして、PLG(Product-Led Growth)とSLG(Sales-Led Growth)があります。内容の詳細については、下記の記事にあります。

commmune.jp


とはいえ、どちらか一方の戦略だけに寄ってしまうと、今の状況では成功するのは難しいかなとは思います。海外のベンダーで、PLGを前提に設計してるサービスは日本にかなり入ってきてるし、すでに目新しい仕組みではありません。かと言ってSLGに全振りするのも、じゃあ人力でがんばるのかという話になってしまいます。どちらか一方というよりは、以下の記事にあるような、

www.wantedly.com

導入初期のランディングではPLG、ある段階から上になったらSLGなど、訴求する相手や訴求したい価値によって手法を変えるのが大切

とある通り、どう使い分けてくかという考え方が、今後は大事になってくるかなと個人的には考えています。PLG・SLGどう使い分けていくのかというのは、顧客にとってどういう形が成功なのかという点を深堀する必要があると思います。自分達の提供する機能に自信を持つのは良いことなのですが、それでどう顧客に使ってもらうのか、どういう接し方をすれば使ってもらうのかという観点が無いと、SLGで売り込む場合においても厳しい環境になってきてると感じます。まずは顧客を観察することが第一歩であり、下記の記事にあるような、

seikatsusha-ddm.com

自社の顧客にとってのサクセスの定義。これを計測可能な具体的な生活者の行動に落とすということ

というカスタマーサクセスの活動は、重要性が増すと思います。
冒頭で紹介したクックパッドにおいても、カスタマーサクセスの手を抜いていたとは思いませんが、SNSであったり他サービスでカスタマーサクセスの対応部分で勝負されると、弱い面があるかなとは個人的には思います。クックパッドと同じ料理系のサービスであるクラシルは、カスタマーサクセスの組み込み方が上手かなと考えていて、以下の記事にあるように機能的な質問に加えて料理の質問にも回答したりしています。

dely.jp


toC向けのサービスであっても、どうユーザと接点を持つかというのは重要度が増してきていると感じます。それは、SNSによりコミュニケーションのハードルが一昔前に比べると、低くなってるからかなと考えています。アップセルやクロスセルを狙う際も、単純に広告等のプロモーションだけやれば良いという時代ではなくなっていて、SLG的な要素も入れてどのような層にどう売り込むかという人間的な側面も求められてくる気がしています。