とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

会社は公器という考えについてあらためて考えてみる

特定の業界に限った話ではないのですが、品質について虚偽報告をするなどの不正が、中々なくならないですね。以下の記事にある通り、とうとう建設業界に対して国が注意喚起を行ったりもしてます。

xtech.nikkei.com


注意内容はほんと低レベルなもので、簡単に言うと嘘つくんじゃねぇよって話です。それこそ嘘をつくのは良くないとか、小学生でも分かることが大企業の大人ができてないということになります。
ただ、品質不正をやった現場の人が悪いかって言うと、一概にそうなるとは思ってはいません。会社の慣習でそういうことをやってたとか、上から指示されて致し方なくやったということもあると思います。とは言え、そういう状況であれ不正が許されることとはならないので、以下の記事にも書きましたが、どう責任や義務を果たすかという根本的な意識の改善が大事かなと思います。

toaruit.hatenablog.com


こういった話はどうしても精神論になってしまうのですが、じゃあ意識の改善をするために会社としてどう取り組むかという点について、私が考えてることを今回少し書いてみたいと思います。
昔に勤めていた会社の社長が、松下幸之助さんの「会社は公器」という言葉を度々使ってました。個人的には、会社は公器という考えはけっこう好きです。会社は営利を上げることがもちろん大事なのですが、一方でこのような広い視点を持つようにしないと、不正防止への意識やそもそも会社が社会に受け入れられるか、というのがおざなりになるのかなとは感じます。会社は公器の例でいくと、以下の松下幸之助さんの言葉にある、

konosuke-matsushita.com

ここでわれわれが一所懸命やって、九州経済あるいは九州地域全体に貢献することは、すなわち、日本に貢献することであり、松下電器の責任を果たすことになる。なるほどきみたちが言うように、それは非常に不利な条件ばかりだけれど、若干の経済性を犠牲にしても、この際松下電器は地域の要請にこたえるべきや。

という判断に見られるかなと思います。上記でも書いた通り、会社は営利が大事なのは言うまでもないのですが、一方で会社の体力に余裕があれば、地域や社会の要請に応えていくという観点も大事かなと考えています。

社会貢献というと、募金やメセナ活動が挙げられるような気がします。もちろん、そのような活動も大事ではあるのですが、社会課題と本業をどう紐づけるかというのが「会社は公器」を実現する上で大事と感じます。例えば、今の日本では、少子高齢化や教育の問題や賃金が上がらない問題、などなど課題をあげれば色々思いつくかなという状態です。本業で成功した先に、こういった課題の解決にどう結びつくかのような道筋をたてないと、職場で働くメンバーも視点が営利のみに寄ってしまう気はします。
このようなことを書くと、以下の記事でホリエモンが言うような、会社の目的はあくまで株主への利益還元という反論がくるでしょう。私的には、それも間違いではないと考えています。ただ、その背景として記事で書かれているような、

toyokeizai.net

よいサービスや商品をつくって売る。それで顧客は満足する。そうなれば、納税額も増えるし、投資マネーも集まって、経済が活性化される。こうして結果的に、社会貢献が実現される

ということを念頭に置かないと、やはり変な方向にいく可能性はあると思います。つまり、会社のトップが株主利益が一番というメッセージを出して、メンバーがそれを聞いて最終的な社会貢献をイメージできるかというのは、少し難しいのではという気はします。なので、シンプルに物事を考えるのは大事なのですが、一方でその背景にある文脈もきちんと共有しないと、誤解を与えかねないようには感じます。