とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

共感の考え方とアジャイル

私は学生時代にちょっとだけ経営学的なのをかじったのですが、その時にちらっと見かけて印象に残ったのが野中郁次郎先生の論文でした。内容の詳細はそこまで覚えてないのですが、決まりきったフレームワークではなく、ある種の感情的な人間的な要素を大事にしてたのが記憶にあります。
そんな、野中先生の記事を久しぶりに見かけました。そして、今私がいるIT業界でホットなトピックである、アジャイル開発と関係があるそうです。アジャイル開発を提唱した人も、野中先生の書いた論文がアジャイルの着想のきっかけの一つになったそう。

jbpress.ismedia.jp

 

 アジャイルのプラクティスを実践している現場も多いと思いますが、人間的な感情の部分をおざなりにし、ただ漫然と実施するのは、やはりアジャイルの根本的な思想が取り入れられていないのではと感じます。上記の記事にある通り、例えばペアプログラミングならなぜペアでやる必要があるのか、なぜスクラム形式のような開発手法をとっているのか。根本にある「協調」であったり、「共感」といった部分を重要視しているという点を押さえておくと、個人的にはアジャイルのやり方はすごくしっくりくるものと感じました。
もう少しこの「共感」の部分を考え方を掘り下げたのが、下記の記事になります。会社は営利企業である以上は、利益や株主価値といった面は大事なのですが、一方で「顧客」や「社会」に対していかに共感を感じてもらうか、といった面も重要性は上がっていると感じます。で、結局共感をどう感じてもらうのかというと、行き着くところは「それらを何のために行うのか」、「どんな物語を作っていきたいのか」となると思います。まさにアジャイルでいうところの「インセプションデッキ」のような考え方に、近いところになると思います。

www.hitachihyoron.com

 

我々現場のエンジニアにおいて、言われたものを作るというところに徹する人も多いと思います、そのようなスタンスはもちろん私は批判しないです。ウォーターフォールであればこの考えは間違いではないし、全部が全部アジャイルでやるべきでもないと思うので。
ただ、ことアジャイルをやろうとなった時は、この意識は変えるべきなのではと私は思います。アジャイルが本質的に目指す「共感」のゴール設定と、この考え方はやはり合わないからです。自分たちがなぜそれを作っているのか、どういう世界をつくりたいかなど、根本の思想が合ってないとアジャイルをやっても意味ないと思うし、形式的にアジャイルを導入したところで、それは上手くいかないのではと感じます。