とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

イノベーションとは何なのかあらためて考えてみる

変化の激しい時代、イノベーションが必要だ、みたいな意見はよくあると思います。変化に対応するためには何かを変えなきゃいけないし、そのためにいわゆるイノベーションが必要という気持ちは分かります。ただ、イノベーションという言葉が成功するばかりで、結局何やりたいんだっけってのが、なかなか見えてこないケースもある気はします。
そもそも、イノベーションという定義はどのようなものか。下記の記事に色々定義はあるのですが、シュンペーターの「従来とはまったく違う、革新的な新商品(新製品・新サービス)を開発すること」が多くの人がイノベーションに持つイメージなのではと感じます。

www.hrpro.co.jp


では、新しい技術で商品を作ったら、それはイノベーションで成功に結びつくかというと、実際はそうではありません。下記の記事にある通り、特に日本の電機企業の衰退を見れば分かりますが、新しい技術を開発してそれを製品化してきたにもかかわらず、結果が出てるかという話ですね。家電系は中国や韓国の企業にやられっぱなしが現状で、もちろん技術が流出してしまったのも大きな問題ではあるのですが、イノベーションをどう考えるかという点は弱かったようには感じます。

eetimes.itmedia.co.jp


こう考えると、技術的なイノベーションだけでは厳しいのではと思われますが、技術的に新しいことに取り組むこと自体は悪いことではなく、それをいかに届けるかという視点が欠けていると成功には結びつかないと考えています。じゃあどう届ければ良いのかというと、前にこのブログでも紹介した「ジョブ理論」が出てくるわけです。

ジョブ理論は、イノベーション研究で有名なクリステンセン教授が提唱した考え方です。顧客の課題であったり文脈や背景を起点として、それを「ジョブ」と定義し、いかにジョブを解決するかということにフォーカスする理論です。まずは解決するジョブを定義しないと、いくら新しいものを作っても、それは顧客にささらないということがあり得るわけです。

www.itsportsbiz.work


台湾でもITの取り組みも、このジョブ理論に基づいていると私は感じます。台湾のIT化は、おそらく多くの人がイノベーションの事例として挙げるものではないでしょうか。ただ、台湾もイノベーションを起こそうと思ってやったわけではなく、地震学生運動が起きたりして、そこに課題であったり危機感があったりして、草の根的に起きたものと私はこの記事を読んで感じました。

forbesjapan.com


記事中にある「15歳の子の声に耳を傾ければ未来は近づいてくる」というのは印象的で、まだ権力も何もない若者のジョブを認識してそれをどう解決に導いていくか、こういったことがイノベーションにつながるのではないかと私は感じます。日本にいる我々も「偉い人が言ったから」とか「マスコミ受けがするから」とかじゃなくて、もっと現実世界で生活している大衆にフォーカスしていかないと、良いサービスやプロダクトは生まれないし、台湾のようにもなれないのかなとは感じます。