とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

天才でない自分が歳をとったらどうすればよいか

歳をとると自分の限界が自ずと感じられます。20代のときは自分には成長の余地がまだあると信じられましたが、30代を過ぎると徐々に自分の身の程が分かってくるように感じます。特にITの業界は比較的年齢層が若めなので、自分よりも若くて優秀な人なんかゴロゴロいるわけです。自分より若く、技術力もあって、コミュニケーション力ある人がいたら、自分はどうすればよいでしょうか。そんなことを今回は書いてみたいと思います。
まず最近の人事評価の動向について、少し触れます。周知の通り終身雇用は崩壊していく見込みで、終身雇用が終わるということは年齢とともに給料が上がる仕組みも終わるということになります。コロナによる不況の影響もあり、大企業でもバンバン人を切る状況なので、まぁしょうがないかなと思います。
終身雇用の仕組みの代わりとして最近話題になってるのが、欧米などで比較的採用されてるジョブ型雇用です。ジョブ型雇用は職種ごとに要件(ジョブディスクリプション)を決めて、それに合った人材を採用したり評価するものになります。

en-gage.net


システム開発の例でいくと、下記の記事にあるような、自分より年上のエンジニアがメンバーにいるとかが普通になる世界観です。マネジメントもある種の専門性があるので、マネジメント領域を志向してる人であれば早くからマネジメントが出来ると思うし、逆にデベロップを主に行いたいエンジニアも無理にマネージャーにされることも少なくなるかなと感じます。

toyokeizai.net

ではこのジョブ型雇用が進むとして、自分はどうなるか。おそらくITの世界で確固たる専門分野がない自分は、自分より優秀な人に勝てる機会は少ないでしょう。ただ、自分が想定している未来(願望)では、ジョブ型雇用はそこまで進まないと考えています。
ジョブ型雇用の一番のキモは職種要件の細分化です。ので、専門性は高くなるものの、その職種に汎用性が担保できるかは、個人的に少し疑問に思ってます。特に移り変わりが激しいIT業界では、数年前の常識がレガシーになる可能性が比較的高いです。極端な例ですが、下記の記事のように歳をとると、スキルに関係なく一気に給料を落とされることもあります。この記事の彼らが他の会社でも通用するスキルを持ってれば、訴えることなく他の会社に行けば良いだけなので、おそらくかなり限定された場面で使えるスキルだったのかなと感じます。

news.nicovideo.jp


ではどういう未来を私が予想してるかというと、下記の記事にある「自営型」がロールモデルとして採用されるのが多くなると考えています。エンジニアで専門性が高い人はジョブ型でも全然良いと思うのですが、他方私のような専門性がイマイチだけどある程度周辺領域をカバーしてる人間は、いかにプロジェクトやビジネスに貢献できるか、というのを軸にしていったほうがよいのかなとは感じます。

bizgate.nikkei.co.jp


この考えは、アジャイル開発の思想とも合ってるように思います。スクラムインセプションデッキ、XPといった手法も大事なのですが、本質的にやりたいことは、下記の記事にある通り「いいビジネスとモノ作りをやる」ことだと私も思います。当たり前のことではあるんですが、これを実現する上でいかにチームメンバーであったり、周りの環境を理解し課題解決するかというのが求められてくると考えています。

next.rikunabi.com


今後、私がどのような道に進むか分からないのですが、当面はビジネスを拡大する上でエンジニアが必要とされるような環境で、よいものを作っていきたいです。もちろん、プログラミングやマネジメントといった局地戦では私より優秀な人がたくさんいると思います。
それに対しては、以下のスライドにある伊藤直也さんの言葉で「自分より現場のエンジニアの方が優秀なのは分かった。だからといって自分が開発しない理由にはならない。」、「教条的になりすぎないこと。状況に適応した対応こそが好況を生むこと。」というものが自分は非常に共感するものがあります。自分より優秀な人がいるからといって、自分がその分野で貢献できないというわけではないと思います。局地戦での優劣に固執しすぎず、いかに良いものを形に出来るかというスタンスで自分の価値を高めていければと思います。

speakerdeck.com