とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

エンジニアファーストとエンジニア不足

少し前に、Xでエンジニアファーストについて話題になりました。個人的には目的が希薄な「エンジニアファースト」は、エンジニアからしても軽薄に見えてしまうかなと感じてたところであります。また、ビジネスの成長にそれがつながらないなら、以下の記事にあるようにエンジニアファーストをやめるみたいな判断は普通にありうるとは感じます。

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さて、日本のIT業界というと、エンジニアの大半はいわゆるSIerやSESなどのITサービス業に従事しています。以下は2023年の記事ですがエンジニアの7割以上は、ITサービス業で働いてるとのことです。

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エンジニアファーストを考える場合、このITサービス業か否かという点は大事と思います。まず、ITサービス業については多くの場合、端的に言えばエンジニアは商品ですのでその商品をどう売り出すかという議論に帰結するとは感じます。以下の記事にように、変な営業の仕方をすればそりゃトラブルになるだろうし、顧客もエンジニアも幸せにならないわけです。

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ITサービス業を、個人等の小規模で行なえばエンジニアファーストも成立しやすいのかもしれませんが、大規模でビジネスしようとすると成立させるのはかなり難しいと考えています。人をたくさん集めたら教育やフォロー等も必要になるのですが、なにより稼働をさせないと利益にならないので結局は利益優先の方に傾きがちになり、エンジニアの意向が低くなるようなケースもあるかと感じます。

一方、事業会社でITエンジニアを抱えるケースもあるかと思います。きちんとエンジニア組織を作ってる会社はあると思いますが、組織を作ると言っても一朝一夕で出来るものではありません。高い給料を提示してITエンジニアを集めたところで、利益に結びつくかというとそうではないと私は考えてます。価値あるものを作るために、どういう組織でどういう業務フローでどういう人材で実現するかの設計が甘いと、エンジニアについて宝の持ち腐れになるだろうしモチベーションも上がりにくいようには感じます。

さて、エンジニアファーストが話題になりつつも、IT人材が足りないというのはかなり長いこと言われてることではあります。政府もITの強化を掲げてはいますが、中々どうだろうなという感じは個人的にはしています。

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なぜ、このような微妙な感じなのかというと、IT業界はやはり定着率が低いからではと私は考えています。個々の現場や会社を移るというのは、けっこうある業界なのでそれはそれで良いのですが業界全体として底上げされないというのは、やはりITから出て行く人が多いからと感じます。政府も企業も入る人を増やそうと施策を打つことが多い感はありますが、出て行く人をどう減らすかも考えるべきと思います。業界に入って生き残れる人だけが残っていくみたいなのを続けることが果たしてエンジニアファーストなのか、それなりの期間IT業界にいる人間としてはどうだろうなとずっと感じていることではあります。