とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

仮説検証とアジャイル

アジャイルについて、私のブログでも何度か取り上げました。そこではエンジニア自身が限られた工程だけをやるのではなく、ビジネスと対話しながら一人一人が開発を自己完結させることが大事と書きました。今回はなぜこういった意識が大事かというのを、もう少し書いてみたいと思います。
まず前提としてアジャイルでの開発はスプリントと呼ばれる、数週間の単位でリリースできるものを開発していくスタイルで進めていきます。これは開発のスタート時に全ての要件が決まらないし変動しうるという前提にたち、要件が決まっている部分であったり、重要な機能から作り込むという目的があります。
もちろん、この目的も大事ではあるのですが、一方でリーンの考えである「仮説検証」のサイクルを回すことも、アジャイルを効果的に回すためには大事と私は思います。以下の記事ではリーンとアジャイルを別の考えとして扱っていますが、個人的にはリーンとアジャイルはセットで進めないと、なかなか効果を発揮しないのではと感じます。

www.blockchainengineer.tokyo

 

携わる人がある種の仮説を持って開発に取り組まないと、作った機能はそもそも正しいか、次に何を作れば効果が出せるか、といった思考のサイクルが回らず、ウォータフォールと変わらず言われたものを作るといったことが、起きてしまうのではないでしょうか。アジャイルにも色々なプラクティスがありますが、ただ、漫然とプラクティスを実行したりスプリントをこなすことだけで、アジャイルをやる意味はあまりないと思っています。
その点だと、下記の記事にある通りアジャイルとは組織論であって、いかにチームメンバーが良いプロダクトやサービスを実現できるために、仮説検証を実践できるかという仕掛けなのではと思います。

a-suenami.hatenablog.com

 

下記の記事にもありますが、
「一昔前は、会社の事業はそれほど流動的でなく、一人の管理職が永きにわたって活躍できた。だが、現在の企業は本質的に事業が流動的であり、脆弱である。また、求められる能力の変化が大きい。」
というのが今のビジネスの環境です。事業が流動的である以上、その流動的な流れに対応できる開発体制が望ましいと私は感じます。流動的な流れに対応する一つの手段が「仮説検証」であって、開発する機能はもちろんのこと、チームの体制や人材の配置を含めて、きちんとサイクルを回せることが大事なのかなと感じます。

blog.tinect.jp