とあるIT屋の独白

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2023年12月時点での自動車部品の立ち位置について

少し前ですが、日本の大手メーカーが株式を保有する自動車部品企業の株を売却するのが、ニュースになっていました。例えば以下の記事にあるパナソニックや、

toyokeizai.net

以下にあるトヨタが、デンソー株を売却する記事が挙げられます。

jp.reuters.com


自動車業界は昨今はテスラの台頭もあって、関連事業をやってる企業は戦略をどうしようか悩んでいるとは思います。その中で自動車部品の事業を切り離していくのは、どういう意図があるのか少し考察してみます。

まず全体的な日本の自動車部品の市況感ですが、基本的にあまり良くはない感じが個人的にはあります。以下の記事のように、従前からあるコスト削減の取り組みに加え、EV等に対応するための研究開発が求められてきてるからです。日本の自動車メーカー自体が一昔のような競争優位が崩れかけているので、致し方ない面はあるのですが。

newswitch.jp

では、日本の自動車製造の強みは何なのかという話です。一つ挙げられるのは以下の記事にある「すり合わせ」でしょう。ガソリン車を製造する時は部品の調整が必要になって、その部分で部品メーカーも存在感が出せました。

diamond.jp

部品と部品を一つひとつ調整しながら、カスタマイズしてつなげていくことで製品がつくられる構成

とは言えEVとなると、ここら辺の事情が少し変わってきます。以下の記事で挙げられているテスラのような、部品点数をかなり減らしソフトウェアをアップデートするようなコンセプトになっています。

weekly-economist.mainichi.jp

テスラの次世代プラットフォームでは、「ギガキャスト(大規模なアルミダイカスト)」で一体成形したフロントとリアと、プレスを中心に成形する2系統がサブラインで平行(パラレル)に進行

もちろんテスラのやり方も、絶対に最適解かと言われるとまだ未知数と私は感じます。今後日本メーカーが、新たな手法を生み出す可能性はあるでしょう。ただ、EVにシフトしていくのであれば、キーコンポーネントとなるバッテリーをどうするかというのは一つ課題になるかと思います。以下の記事にあるようにテスラはバッテリーのデータをある程度持ってる点は、やはり強みではあります。

www.goo-net.com

BEVに関しては、垂直統合化を進めて、バッテリーの基礎データを集めるしかない。そのためにはコネクテッドによって、リアルタイムなバッテリー情報を収集し、バッテリーのモニタリングに、より深くコミットすることを意味する

諸々、現時点での自動車製造の情勢について書きましたが、自動車が全体的にEVにシフトしていくのであれば、部品メーカーの立場は辛くなってくるように見えます。今のテスラの垂直統合に対応できるような仕組みを、考えなければいけません。従来のように自動車の完成車メーカーの要求に対応するだけでは、部品メーカーは苦しくなるでしょう。自社独自のコンポーネントや仕組みを開発する動きを取らないと、完成品メーカーがいつまでも面倒を見てくれるという状況ではなくなっていると感じます。
ただ、幸いなことにまだ日本においては、部品メーカーは完成車メーカーに近い位置にいるので市況感や課題などの情報を得られやすいと私は思います。得られた情報を元に自社の強みを活かしてどう打ち手を考えるか。日本の製造業は個人的には技術力は高い水準にあると思うので、新しい取り組みなど積極的に取り組んでいけば、テスラに対抗できる可能性はあるように感じています。