とあるIT屋の独白

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ラピダスについて少し調べてみた

ちょくちょくニュースなどで取り上げられる「ラピダス」という会社、聞いたこともある人はいるかなと思います。ラピダスはいわゆる国策企業と呼ばれるもので、経済産業省が旗を振り日本の大企業が出資して2022年に設立されました。概要は、以下の記事を参照ください。

www.semiconductor-industry.com


さて、国策企業と言うと過去には、エルピーダメモリジャパンディスプレイの失敗事例があり、ラピダスが成功するか個人的な感覚ではちょっとあやしい感じがします。もちろん個人的には成功してほしい気持ちはあるのですが、私は中々ネガティブな性分なので少し否定的な視点で調べてみました。 

ラピダスの懸案として大きなものの一つが、以下の記事で触れられている「2027年までに2nmのロジック半導体を量産」が、今の体制で現実的かという点です。サムスンTSMCという世界の半導体企業が、2023年時点で2nmまで到達できていません。それなのに、昨年設立したばかりの国策企業が果たして世界の半導体企業と、本当に戦えるのかという話になります。

biz-journal.jp


そういった不安要素が当然推察できる中で、なぜ経済産業省がこれを始めたのかというと、技術提供するIBMの存在は大きいと思います。2nmを開発する技術は日本独自のものではなく、IBMの技術を利用することになっています。 

www.bloomberg.co.jp


そもそも、ラピダスの話自体がIBMの提案から始まったという噂もあります。IBMは研究開発した技術を有効活用したいし、日本としても国策で半導体製造をなんとかしたい、という利害は一致するかなとは感じます。

xtech.nikkei.com


IBMの技術が独自性があり他社の模倣が厳しいなら、成功する可能性はたしかにあるでしょう。ただやはり懸念はあります。
そもそもIBM半導体を開発してた目的は主にサーバー用途のものだと私は感じていて、汎用的な半導体の量産に関してノウハウを持ってるのかという点。また、現状はIBM半導体の製造は他社(おそらくサムスン)が行ってるという点です。今回のラピダスのプロジェクトが、どの程度IBMに依存してるかは、正直見えない部分はありますが、仮にIBMの依存度が高い場合はIBMの気分によってひっくり返されるリスクはかなりある気はします。仮にそのようなリスクがあるとして、それを国策として行うとしたら、個人的にはやはり疑問に感じざるをえません。成功するにしろ失敗するにしろ、有意義な経験が日本に残る形にしないと、また過去の失敗事例の繰り返しになるように感じます。