とあるIT屋の独白

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戸籍の目的という観点からの夫婦別姓の考察

2018年に夫婦別姓について私のブログで取り上げましたが、
https://toaruit.hatenablog.com/entry/2018/01/16/022243
それから約3年経ってもこの夫婦別姓は実現してません。これはなぜかというと、当時も書いた通りですが日本においては姓と戸籍が深く関係していて、姓について仕組みを変えるのであれば戸籍の仕組みも検討せざるをえないのですが、この戸籍についての議論が全く深まってないからと私は感じます。一方で戸籍制度を変更するとなった場合に、そもそもこの戸籍制度って何のためにあるんだっけ、というのに立ち戻るのが大事と思います。ので、今回はそもそも戸籍の目的と、その目的に基づいて夫婦別姓の議論について書いてみたいと思います。
さて、まずは戸籍制度や姓の歴史的なところですが、下記の記事に詳しくまとまっています。現代の戸籍制度は明治時代の「家」が元になっていて、戦後に夫婦と子供を姓というくくりで同一の戸籍とするような制度になったそうです。現行の戸籍制度は、「夫婦親子の関係を一覧的に把握できる」ことを目的としていますが、欧米のように個人籍のほうが目的を達成する上では良いのではということも触れられています。

www.law.tohoku.ac.jp


さて、ではなぜ「夫婦親子の関係を一覧的に把握できる」ことが重要なのでしょうか。それは「子供への責任」ということに尽きると思います。昨今、日本でシングルマザーが問題になっています。婚外子の場合は子供は母親の戸籍に入り、父親となる人の認知を受けないと相続権がなかったり養育費がもらえなかったりします。もちろん、男性が拒否をすれば裁判で強制的に認知させるという手段もありますが、中々裁判まで起こすのもハードルが高いと思います。なので婚外子のようなケースを減らして、子供がきちんとした環境で育てられるような制度を実現するのが、戸籍のあるべきと私は考えています。

www.kakekomu.com

 

シングルマザーが今現在で問題になっている以上は、現行の戸籍制度は何かしら改善が必要といえると思います。ただ、この問題が取り上げられずに夫婦別姓の問題ばかりが取り上げられるのは、私は少し気持ち悪さを感じています。戸籍制度の本来的な目的が「子供を守る」ための制度であるはずで、今その本来的な目的が達成できていないことのほうが、夫婦別姓より大きな問題であると考えています。
もちろん、戸籍制度を現状に合ったあるべき方向に改正する上で、結果として夫婦別姓が良いのであれば、それはそうするべきだしそれについて文句をいう人は少ないと思います。ただ、目的や現状の問題点に目を向けず、単純に大人の都合で夫婦別姓をさけぶのは違うかなと感じます。守られるべき大事な子供にフォーカスされて議論されていないのは、少し浅はかではないでしょうか。だから、今のような議論を繰り返される限りは、夫婦別姓はたぶん実現しないと私は思います。