とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

コインハイブ事件とプライバシーについて考えてみる

少し前にコインハイブ事件の裁判で、東京高裁が逆転有罪をだしたのが話題になりましたね。
今回の裁判でも「反意図性」および「不正性」が論点となりました。

Coinhive裁判、逆転有罪の根拠は? なぜ無罪判決は覆ったのか】
https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2002/10/news130.html

なぜ前回は無罪で今回は有罪になったか、私の独断と偏見になりますが、書いてみたいと思います。
よくあるだろう意見に今回のが有罪になるなら、オンライン広告も有罪になるのではという話。「反意図性」および「不正性」という観点からいくと、個人的な感覚では悪質なオンライン広告も有罪になるのではと感じています。ただ、オンライン広告は大手の広告代理店も扱ってる商材なので、これが有罪になる可能性はほぼないとは思いますが。。
では、なぜコインハイブがこのタイミングで有罪になってしまったのか、個人的にはここ1年で個人情報の取り扱いが、がぜん厳しくなったことがあげられると感じています。数年前から始まったGDPRや、昨年のリクナビの騒動、またそれに伴う日本でのCookie規制などなど、個人情報に関するトピックについて注目されていることが背景としてあり、ある種の見せしめではと感じています。
こうした背景を踏まえ、昨年末ごろに広告関連の境界である、JAA日本アドバタイザーズ協会)が「アドバタイザー宣言」というものを発表しました。オンライン広告の業界でも、「反意図性」や「不正性」といったものを排除する流れは、今後より進むと思われます。

JAAが「アドバタイザー宣言」を発表 デジタル広告の負の側面に企業はどう向き合うべきか】
https://markezine.jp/article/detail/32640

では、オンライン広告等を含むWebのコンテンツは、「反意図性」や「不正性」をなくした上で、どのようにユーザに訴求をしたり、マネタイズを実現すれば良いでしょうか。一つの手段としては、下記の記事にあるような「ゼロパーティデータ」の活用です。ゼロパーティデータとは、サイト側でユーザの行動履歴などを収集するのではなく、ユーザ側から趣向等のデータを収集して、それをマーケティングに活かすものになります。

【「ゼロパーティデータ」「ロイヤルティ」が次世代マーケターのキーワード/チーターデジタルが新製品を発表】
https://markezine.jp/article/detail/32743

この「ゼロパーティデータ」ですが、中部電力が実際にデータを集めて、それを各店舗などで活用できるような取り組みを行っています。不確かな推定データではなく、ユーザ自身から得たデータをいかに活用していくかが、今後より大事になってくるのではと感じます。

中部電力、「情報銀行」の実証3月から開始】
https://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/spv/2002/18/news061.html