とあるIT屋の独白

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システム運用保守の今後・SREについて

新年が明けて2018年になりました。2018年もIT業界は慌ただしく動くような気がしていますが、何とか波に乗り遅れないようにしたいです。さて、今日はシステム運用保守の関連トピックで最近話題になっているSREについて取り上げてみます。

SREは、「Site Reliability Engineering」の略で、日本語にそのまま直訳するとサイト信頼性エンジニア、という雰囲気はなんとなく伝わってくるけど何が目新しい概念であるかパッとは分かりにくいと思います。一般的に言われるインフラエンジニアと何が違うのか、下記の記事に概要が書かれています。

 

Googleが提唱した「Site Reliability Engineering(SRE)」とは】

https://furien.jp/columns/327/

 

重要なポイントとしては、信頼性向上のためにアプリケーションのソースも変更するという手段も、選択肢として与えられているということです。下記のミクシィの事例をみるとイメージがわきやすいのですが、改善のためにDBのシャーディングやアプリから呼び出すライブラリの改修とかも行っています。

 

【物理マシン約1,400台が稼働する、モンスターストライクの運用を支えるSREのミッション【夏サミ2017】】

https://codezine.jp/article/detail/10368

 

つまり、どういう仕組みでシステムが動いているか把握した上で、どのような手段が信頼性向上を実現する上でベストか考えることがSREの仕事になるかなと感じます。決まった運用の下ではなく、課題解決のためにいかに対応方法が考えられるかというのが、求められてきます。

 

【特集:情シスに求められる「SRE」という新たな役割】

http://www.atmarkit.co.jp/ait/series/4503/spv/

 

従来型の保守運用と異なる点は、原因究明や暫定対応のみではなく根本対応やそもそもの仕組みの見直しを含めて、あるべき姿を追求していくという役割になるのかなと感じています。

システム運用保守の現状について考えてみる

ぼちぼち今年も終わりですね、年をとるほど時間は短くなるように感じられるといいますが、本当にあっという間でした。今年一年はどちらかというと、保守寄りの仕事が多かったということもあり、今年最後は運用保守について書いてみたいと思います。

運用保守については本ブログでも、ログ分析について取り上げてみたり

http://toaruit.hatenablog.com/entry/2016/11/07/225822

関連するトピックとして、カスタマーサクセスの取り組みについて書いたりしてみましたが

http://toaruit.hatenablog.com/entry/2016/08/28/021953

あらためてその意義から考えてみます。

システム運用保守は、ほとんどの現場においてコストとみられていて、コスト削減の候補に挙げられることが多いです。極端にいえば運用業務を自動化したり、障害が発生しなければ払う必要が無いコストです。そういった意味だと下記の記事にある通り、もしもの時の保険の意味での安心料ともいえます。

 

【システム保守と運用の役割~現代のIT社会を支えるエンジニアの重要性~】

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/122000309/052900011/?ST=spleaf

 

最近ではユーザからのコスト削減圧力により、撤退を検討しているベンダーも増えてきているとのことです。

 

【「撤退」が3割、システム保守運用の仕事】

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/542472/120800018/?ST=spleaf

 

また、大手SIerのTISはシステム運用保守のビジネスについて、パッケージなどの利用などにより今後縮小するのではとの見込みをたてています。クラウド利用が広がってきていることも、影響しているのかなと感じます。

 

【TIS役員「SIなど既存事業は半分に縮小、五輪まで持たない」】

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/122000309/052900011/?ST=spleaf

 

傾向としては、今後単にシステム運用保守として括られるビジネスは縮小していくと思います。では今現在、システム運用保守に従事しているエンジニアはどうすればよいのかというと、それはまた来年に。。

サイエンスな基礎研究とソフトウェアの基礎研究

一般的な基礎研究(主にサイエンスの分野)は実用にいたるまでの期間が長く下手したら実用化にいたらないことから、基礎研究に取り組む機会自体が少なくなっています。下記の記事によると民間では、ほぼ基礎研究所は廃止され、国や大学が基礎研究の場の主なところとのこと。

 

【企業に見放された基礎研究、「ポスドク問題」、サイエンスの危機】

http://best-times.jp/articles/-/3493

 

主に大学におけるサイエンスの基礎研究では、経済的な成果をすぐに求めるのではなく学術的な価値という観点でも評価されるという点が特徴ではあります。研究者が、ある程度自由にテーマを決めるケースもあります。

 

【"役に立たない"基礎科学が大事なワケ】

http://toyokeizai.net/articles/-/45680?display=b

 

さて、ソフトウェアの業界に目を向けると、基本的に基礎研究は期間がかかるものという点は同様です。ただ、少し前の記事ですが、下記にある通りGoogleMicrosoftではそれなりに研究者を集め、基礎研究に費用を費やしているそうです。Googleでは有名な20%ルールにより全社員が基礎研究的な取り組みを業務の一部として組み込んでいます。かたやMicrosoftでは基礎研究のチームを作り、ビル・ゲイツ曰く、社会に影響を与えそうな研究はスケールの面から民間でやらないと厳しいという見解とのこと。

 

GoogleMicrosoftに見るソフトウェアの基礎研究】

https://japan.cnet.com/blog/umeda/2004/06/09/entry_googlemicrosoft/

 

日本だと、NTTではソフトウェアの分野で基礎研究を行っていますが、要素技術での研究時点ではもちろん表に出るサービスはまだ形になっていないので、その活用方法も考えつつ進める必要があるとのこと。

 

【基礎研究は「時代」とともに在り(NTT技術ジャーナル)】

http://www.ntt.co.jp/journal/1409/files/jn201409012.html

 

ソフトウェアの世界では基礎研究的な取り組みは、個人でも可能と考えています。個人レベルでの研究から世界に広がったものとしては、プログラミング言語の「ruby」が挙げられます。rubyは元々、まつもとひろゆき氏が、自分が使いやすいプログラミング言語を開発しようというところから始まっています。

 

Rubyはどのように生まれ、世界へ羽ばたいていったのか?まつもとゆきひろさん講演会の全貌をレポート】

https://tech.recruit-mp.co.jp/event/post-12898/

 

何かを始める時は必ず壁に当たると思いますが、根気強く続けていくというのは大事ですね。

SQLiteとblob

以前にも本ブログで取り上げたSQLite

http://toaruit.hatenablog.com/entry/2016/10/24/233639

意外にもいろいろな機能があるのですが、blob型も使えるそうです。そしてblob型にファイルを登録するときは、場合によっては普通にディレクトリへファイルを置くよりも速くなるとのこと。

 

ファイルシステムよりも35%高速に】

http://postd.cc/faster-than-fs/

 

これはSQLiteでblobのファイルを圧縮することで、ファイルシステムよりもopen・closeが減らせるからとのこと。

バーチャルを活用したものづくり

 

以前に本ブログでVRやARを紹介しましたが、

http://toaruit.hatenablog.com/entry/2017/10/01/191210

今回はバーチャル関係の技術を活用したものづくりにフォーカスして、記事を紹介したいと思います。

まず紹介するのはVEです。ものづくりでVEというと、バリューエンジニアリングのことを大抵はさしますが、今回取り上げるのはバーチャルエンジニアリングになります。

また、ものづくりで活用されるITといえばCADが挙げられますが、VEではそういったデータを組み合わせて、仮想で製品イメージを作り上げます。

 

【時代はバーチャル! モノづくりの形を変えるVR】

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/spv/1412/15/news024.html

 

また、VEで活用できる技術として、「ハプティクス」という触覚伝送技術が挙げられます。ハプティクスは仮想的に触覚を再現するものとなります。

 

【触覚伝送「ハプティクス」が世界を変える日も近い】

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/103000949/?ST=spleaf

 

ハプティクスなどを活用したVEでの、ものづくりを実践しているのが車を製造しているジャガー社です。下記のサイトでその雰囲気が、少しですが分かります。

 

【バーチャルエンジニアリング-JAGUAR

https://www.jaguar.co.jp/about-jaguar/reliability/virtual-engineering.html

MySQLエキスパートの今

日本でMySQLのエキスパートといえば、間違いなく挙がってくるのが松信嘉範氏でしょう。DeNAの時代からその名前は知られており、下記の記事のようにHandlerSocketを使用した高速化などに取り組まれていたりします。(もう7年も前ですね)

 

【NoSQLとしてMySQLを使うDeNAが、memcachedよりも高速な75万クエリ/秒を実現】

http://www.publickey1.jp/blog/10/nosqlmysqldenamemcached75.html

 

そんな松信氏ですが、現在はFacebookに在籍していて、MySQLのストレージエンジン「MyRocks」の開発を行われています。MySQLのエキスパートとしてまだ第一線で頑張っているのを見ると、刺激を受けます

 

Facebook松信さんにMySQLの歴史とMyRocksについて聞いてみた】

https://enterprisezine.jp/dbonline/detail/9678

 

ちなみに、MyRocksの概要については、下記の記事を参照ください。

 

Facebook、新しいMySQL用ストレージエンジン「MyRocks」をオープンソースで公開。フラッシュに適したデータの書き込みと圧縮効果】

http://www.publickey1.jp/m/blog/16/facebookmysqlmyrocks.html

ジョブ理論を読んでみて

イノベーションのジレンマで有名な、クリステンセン教授の今年出版された書籍がジョブ理論になります。

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶブックランキング第3位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶブックランキング第3位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/08/01
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (3件) を見る
 

 
概要は下記の記事にある通りなのですが、自社製品はいかに顧客のジョブ(課題や仕事)を解決するのか、という観点で本の中では様々な事例を使って述べられてます。

 

【クリステンセン教授のジョブ理論から紐解く、ものづくり企業が発見すべき「顧客のジョブ」】

https://bizzine.jp/article/detail/2418

 

言いたいこととしては以前に本ブログで取り上げた伊藤直也氏の記事に近い感じがしていて、

http://toaruit.hatenablog.com/entry/2017/08/12/233218

問題としてフォーカスすべき点はどこか見定める、という考え方が対顧客でも活かせるのかなと思います。