とあるIT屋の独白

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2021年現在のSIerについて考えてみる

IT関係の記事やTwitterでたびたび話題になるSIer。けっこうマイナスイメージで取り上げられることも多く、オワコンと言い続けられながら、2021年現在もその立ち位置が大きく揺らいでるという感じは個人的にはあまりしないです。SIerも一昔前から何も変わってないわけではなく、ある程度環境の変化はウォッチしていて、だからこそビジネスとして現在も成り立っている部分はあると感じています。
ということであくまで個人的な見解ではありますが、私が考えているSIer像のようなものを今回は少し書いてみたいと思います。

まずは、SIerシステムインテグレーター)とは何かという定義ですが、これはけっこう人によって考えてるものが、少し違う感じもします。ここでは、以下の記事を参考にして一旦、
受託開発を行なっている。
・企業から大規模な案件を請け負っている。
・元請としてのポジションを担っている

と定義します。

proengineer.internous.co.jp


SIerについてよく言われるのは、今の時代もうオワコンになりつつあるということ。オワコンと言われる理由については、下記の記事にあるような「クラウドサービスへの対応」、「アジャイルへの対応」、「下請け構造」が主に挙げられる気がします。

proengineer.internous.co.jp


オワコンと言われつつも、SIerの年収レンジはどうかというと、依然として高めに設定されているようには感じます。おそらく、Web系と呼ばれる会社よりも高めなのではないでしょうか。もちろん、コンサル系の会社に比べたら低いとは思いますが。

www.recme.jp


そして、オワコンと言われる各要素についても、個人的には少し浅い気はしています。

まず一つ目の「クラウドへの対応」ですが、クラウドがここまで使われるようになってきている中で、SIerが全く対応していないはずもなく、少し調べれば各社何かしら取り組みをしているのは分かると思います。下記はNTTデータの事例ですが、AWSやAzureを組み合わせるなどして、政府向けのクラウドサービスを提供していたりします。

japan.zdnet.com


二つ目の「アジャイルへの対応」ですが、SIerウォーターフォールだけしかやらないというわけではありません。2年前の以下の記事によるとアジャイル人員の確保を行っています。また、これも少し調べてもらえれば分かるはずですが、具体的に各社アジャイルにどう取り組んでいるかというのは事例として出てくるかなとは思います。

xtech.nikkei.com

 

三つ目の「下請け構造」ですが、これは別にSIerに限った話ではないと感じます。Web系の会社であっても業務委託の人材を使うことはあるし、その人がどのような商流で来ているかなんて正直知ったことではないです。自社だけで対応しきれない部分を外部に委託するのは、やむおえないと感じるし、それを自社だけでやれというのも少し暴論な気がします。
ただ、もちろんよく分からない多段階の商流はやはり良くないので、これはSIerだけというよりは業界全体として是正すべきことだと思います。

最後にSIerで必要なスキルですが、もちろんIT系の基礎知識はベースとして必要なものの、やはりプロジェクトをいかに回すかというマネジメントが求められてきます。受託開発はほぼ単価商売なので、高単価であるPMに戦力を寄せるのは当然の流れであるとは思います。そして、きちんとマネジメントが出来る人材は肌感ではまだまだ少ないように感じます。ので、PMを目標としているなら、SIerという選択肢は決して悪いものではないと考えています。

jna.co.jp


一応、ここではSIerを肯定的な視点で書いてみましたが、もちろんSIerというビジネスがこれからも安泰とは思ってません。前に書いた以下の記事では批判的な視点で見ており、ユーザ側のITへの取り組みが進めばSIerのビジネスも徐々に小さくなってくるだろうとは感じます。
ただ、今の段階ではユーザ側のITへの取り組みまだまだ不十分だし、SIerの存在は依然として大きいものと考えています。もちろんユーザ企業の意識も少しずつ変わってきている雰囲気はありますが、SIerビジネスの根幹が揺るぐような変化ではまだまだないと感じます。

toaruit.hatenablog.com