とあるIT屋の独白

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分断について考えてみる

以前にこのブログで書いた結婚について書いた記事で、分断について少し触れました。今回はこの分断について、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。

toaruit.hatenablog.com


そもそも分断って何なのかって話ですが、辞書的な意味だと元々一つになってたものが、分かれるという意味です。社会的な意味での使われ方だと、元々中くらいの所得層が多かったのが富裕層と貧困層に分かれたり、政治的な思想が右と左に分かれてしまう、などの場合で使われることが多い印象ですね。

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日本においてもアメリカ同様に、分断が見受けられるようになってきて、経済格差であったり、思想や考えの違いによる衝突も珍しくないかなと思います。ただ、今になって、なんでそんなに分断が見受けられるようになったかというと、それは日本の低成長の期間が長くなりすぎてるから、というのが一つの要因なのではと私は考えてます。
バブル崩壊までの日本は、終身雇用で会社を辞めさえしなければ、それなりに良い暮らしが保証される時代でした。多くの人がこのレールに乗ることができたので、経済や政治に対する不満も今ほど大きくなかったでしょう。ある種の人生の勝ちパターンがある状態なので、分断が起こるということは表面上はなかったということなのかもしれません。
ただ、バブル崩壊以降、この勝ちパターンが徐々に通用しなくなってきて、今では大企業も平気でリストラする時代です。そして、これといった新しい勝ちパターンが生まれることなく、数十年が過ぎてしまいました。代わりに生まれたのは、様々な価値観の人が注目をされて、いわゆる誰が言ってることが正しいのかという状況と私は思います。おそらく勝ちパターンが決まってた時代には、ある種押さえつけられていた人達の価値観が、表出した側面もある気はします。

絶対的な正しさが無い社会では、その人にとって何が正義かというのが大事になってきます。この正しさというのは価値観とほぼ同義と考えていて、これは人によって違うので各人が分かり合えないケースもあると思います。昨今よく叫ばれている「多様性の尊重」は分断と関係性が深いと思っていて、まず分断されていると認識しないとその先の尊重までは辿り着けないような気はします。特に自分の意見が絶対的に正しいと思っている人にとっては、理解が出来ない領域かもしれません。
ただ、1人の人の持っている全ての価値観を100とすると、100合致するケースも稀であるし、全て合致しないということも無いと思います。あるトピックでは分断されてはいても、あるトピックでは同じグループに属するといったこともあり得るでしょう。なので、人と人が完全に分断されているケースは稀であると考えていて、一部は分断されていて一部は合致しているという状況が自然かなと私は考えています。私達は人間の思考は思っている以上に複雑なものだと認識すべきだし、まずはどの部分が分断されていてどの部分が合致しているかの把握が必要です。そういった相手の理解なしに紋切り型で白黒を判断してしまうのは、やはりちょっと違うかなと思ってしまいます。