以前にもこのブログで、コンプライアンスやら企業風土やら内部統制やらについて取り上げました。今回も似たような内容で結論も以前から特に変わってないのですが、あらためてガバナンスについて書いてみたいと思います。
日本の経営学においてガバナンスで有名な教授といえば、伊藤邦雄先生でしょう。伊藤先生が提唱した理論が実際の会社で導入されたり、政府のコーポレートガバナンスコードにも取り入れられたりしていると思います。では、その結果どうなったか。結論としては以下の記事にある通り、ちょっとどうなんだろうなというのは個人的には思います。
ただ、これは伊藤先生の理論が悪いというよりは、その仕組みだけ表面的に導入してそれで効果を得ようというのが浅はかだったということだと私は考えています。いわゆる手法的な面だけ取り入れて、本質的な目的を軽視すればそりゃガバナンスなんか実現できないのも当然かなと思います。
では、ガバナンスの本質的な目的は何か。個人的には以下の記事にあるような、意思決定の品質にあると思います。組織において、それなりに意思決定が適切に行われることが、ガバナンスが効いてるかの判断軸と私は考えています。
この文脈でガバナンスのあり方について語られることはめったにないが、企業内の大規模な意思決定プロセスを動かすのは、基本的に組織のガバナンスである。
とはいえ、組織のメンバーが全員納得するような意思決定を、行い続けることは難しいでしょう。それでも、意思決定にあたってきちんと社内の情報を集めることは、極めて重要だと思います。社内情報が意思決定に加味されているか否かは、決定の内容とともにメンバーにとっては重要なことと感じます。
リーダーは、意思決定の前段階の情報収集からメンバーを巻き込み、自分がどういう判断をして決定に至ったのか、経緯や筋道、その思いを自分の言葉できれいごと抜きに説明し、メンバーからの反応や意見を取り込みながら“決定を強化”する
もう少し掘り下げると、結果として報告されるまでのプロセスの重要性です。もちろん結果について、あれこれ言うのも大事ですが、なぜこの結果が出てきたのかという点にも目を向けるべきと思います。
レポートは、それを作成するプロセスにこそ意義があるもので、そのプロセスがうまく機能していることが確かめられさえすれば、社長はその結果自体に目を向ける必要はない
もちろんプロセスだけに目を向けるのも微妙ですが、プロセスの理解が不十分なまま結果だけに目を向けるのも問題と私は考えています。とは言えマイクロマネジメントすればよいというわけではないので、その点はある程度ルール化して権限委譲したほうが良いとは思います。
ここではじめて、ガバナンスとしてどうルール等を整備するかを考える必要が出てくると考えます。こういった問題意識無しにやみくもにガバナンスに取り組んだところで、ほぼ上手くいかない気は個人的にします。