現在の日本の経済情勢ではインフレや円安の影響もあり、以前よりも価格に転嫁しやすい状況にあると私は感じます。とは言え依然として競争環境は厳しいものがあり、単純に価格を上げただけだと悪手になるリスクはあるでしょう。その点ではコストに気を払う重要性は、現状でもあると考えています。
以下の記事にある東芝の事例のように業績が良くないからコストカットを繰り返すというのは、ジリ貧になっていくと私は感じます。削っても事業が継続できそうな部分という点は考慮してるとは思いますが、事業継続を目的としたコストカットはよろしくはないなとは感じます。
そもそもなぜ業績が上がらないかという点を考察してみると、個人的には大きく二つに分かれると思います。
一点目は競合の存在になります。それなりに業績が出る事業であれば、競合が出てくるのは必然になります。競合に勝つには、価格も重要な要素になるでしょう。ただ、価格を下げれば売上が伸びるかと言うと、必ずしもそうではないと私は考えます。売る数量は変わらないのに、コストカット等を行って価格を下げていくのが適切な選択かは慎重に判断すべきと思います。価格を下げなくても、例えば少し違う顧客層にアプローチしたりとか、販売チャネルを増やしたりとか、訴求のやり方を変えるとか、手段としては色々考えられるのではと私は感じます。
二点目はコスト構造の設計と実態との乖離です。昨今は円安や資源の高騰などで、当初の見通し通りにはいかないというケースもあるでしょう。そこで無理にコスト削減して価格競争をするのは、疲弊していく要因になる気はします。無理をするよりは価格を上げたり、価格を上げて売上が想定より落ちるくらいなら、その商材の提供をやめるというのも判断としては有りな感じはします。いずれにしても設計と実態が乖離した状態を長く続けるのは、あまり得策ではないように私は考えます。
そのような状況で、ITやAIを使って効率化するという提案をする人もいるかもしれません。しかし、個人的には安易にそのような手段に飛びつくべきでないとは感じます。ITやAIは想定通り導入できないケースもあります。コスト目標を置いてしまうと、仕様の複雑化や無理な設計になり、結果的に保守などが困難な状況が生まれやすくなるように感じます。
では、ITやAIが効率化にそこまで寄与しないかと言われると、決してそんなことはないと考えています。むしろ積極的に試して効果検証すべきと感じます。一つ例を挙げると、飲食業に導入されている配膳ロボットです。配膳ロボットは人を減らすのが主目的ではなく、導入することで働いてる人の負担を減らすことです。負担を減らしサービスの質を向上させたり売上を増やすことで、結果的に売上に対するコスト削減が実現できる、という効果が得られるように思います。
配膳ロボットを導入することで、スタッフの料理運搬負担が減り、ピーク時対応の幅が広くなるのです。対応できるお客様の人数が増えれば、売上増加につながります。