とあるIT屋の独白

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中東情勢(2021年時点)の経緯について考えてみる

タリバンアフガニスタンの首都を奪還という大きなニュースから少し経ちましたが、その後もアフガニスタンでは衝突やテロなんかが断続的に起きてて、全く落ち着かない状況が続いてます。ここら辺の地域は前から紛争やらなんやらが起きてて、もう収拾がつかないのですが、なぜこんなことになってしまったのか。今回は少し時間を巻き戻して、経緯等について個人的にまとめまてみました。
タリバンが実効支配を実現する少し前、2020年トランプ政権の時から、アメリカのアフガン撤退は計画されていました。バイデン政権もそこは継続していて米軍撤退が決定していたからこそ、タリバンが首都まで到達できたというのはあると思います。
さて、そもそもなんで米軍ってアフガニスタンにいたんだっけってのは、けっこう多くの人が見落としているような気がします。当初はテロ組織つまりアルカイダが、アメリカの標的でした。ただ、ビンラディンを殺害し、今のタリバンは表向きアルカイダとは関係ないと言ってる中で、米軍が多額の金を投じてまで意義が薄くなってきたかなとは感じます。

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とはいえ、おそらくアフガンにはまだアルカイダはいると思うし、テロも減っているわけではありません。軍隊が駐留することで多少の抑止にはなるものの、根本的に排除することは困難という判断なのでしょう。
では、そもそも、この雲を掴むような存在であるテロ組織は、なぜ生まれてしまったのか。

以下にアルカイダのざっとした歴史がまとめられています。アルカイダは元々はテロ組織ではなく、傭兵部隊的な感じで各国の紛争地域で活動しました。そこからサウジアラビアアメリカ軍が駐留したことをきっかけに反米感情が高まり、90年代にテロ組織化の方向に進むことになります。

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アルカイダについては特に激しい反米感情を持っていて、最終的に911を起こすわけですが、ではそもそもなんでこんな激しい対立になってしまったのか。もちろん、イスラムの地域にアメリカ軍が駐留したのは一つ挙げられますが、それだけでここまでのことするか、と私だったら思います。

もう少し視点を中東に広げると、こういったアルカイダの動きは中東情勢とかなり関連していると私は感じます。下記の記事に中東情勢の歴史がまとめられてますが、80年代後半から90年代にはパレスチナ問題を皮切りに、エジプトやサウジアラビアなどで、民衆の蜂起が起きた時期になります。その蜂起の最中で生まれたのが、パレスチナハマスでありアフガニスタンタリバンであったり、各地で生まれたテロ組織だったりします。

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で、なぜこのような組織が生まれたかというと、結局は政府の圧政に対する反発があると私は考えています。反発する人が多ければそれは組織になるし、政府の圧政を覆すには武力しかないという思考にはなってしまうでしょう。そして、その圧政の裏には、当時はアメリカの影がちらついていたように思いますし、アルカイダアメリカを敵視していたのだと思います。

圧政を行うとそれに反発する組織が生まれて、武力衝突やテロが起きる。これは80年代後半から今に至るまで繰り返されてきたことです。たぶんアメリカやタリバンもそれをだんだんと認識していると思ってて、だからこそアメリカはアフガンから撤退したし、タリバンも融和的な姿勢を表向きとっていると感じます。
今後、方針や思想に相容れない人たちをどうするか、というのは考えるべき課題です。圧政や武力で押さえつけるのではなく、うまいこと棲み分けできるスキームを、真剣に考えていく時代になっていくのではと私は感じます。