とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

DX時代に考えるUXやストーリー

2023年になっても、DXに関する記事はまだまだ多いですね。私も2021年に以下の記事でDXについて書きましたが、今でもその時からスタンスは大きく変わってないです。まずは体験としてのUXが定義されていることを前提にデジタルの設計をしないと、あまりDXをやる意義はないかなと考えています。

toaruit.hatenablog.com


UXについて、数年前はかなり記事になっていたりしましたが、今はある程度定着をした感もあり、そこまで話題になることもない気はしています。ただ、DXを実現するためにUX設計を行うことは極めて大事だと私は考えていて、それはITツールの導入や開発よりも優先されるべきと感じます。なぜなら、以下の記事で触れられていますが、いかにシステムを導入したところでそれが使われなければ、データも集まらず次の改善にもつながらないからです。

www.dentsudigital.co.jp


さて、UXとは何かについて改めて定義を確認してみましょう。基本的には以下の記事によくまとまっているのですが、個人的には、

u-site.jp

UXとはユーザーにとっての主観的なものだということがはっきりわかります。

ユーザーがうれしいと感じる体験となるように、製品やサービスを企画の段階から理想のユーザー体験(UX)を目標にしてデザインしていく取組みとその方法論。

といった観点が大事かなと思います。つまり、定量的な部分に加えて、いわゆる感情的な面をどう盛り込むかということが、UXに求められてくる範疇となります。では、どうやってこの感情的な部分を作り込んでいくか。UXに近い考えで「デライトデザイン」というものがあるのですが、以下の記事で述べられているような、

1dcae.jp

心の豊かな創り手が、心を豊かにするものを使い手に提供、これにより、心の豊かな使い手が生まれ、これがさらに心の豊かな創り手を生むという相乗効果により、心の豊かなものづくりが形成されます。心の豊かな創り手を生むために、設計からデザインへ思考の転換を図る必要です。

とあるように開発者の感性的な部分が、かなり必要になってくるかなとは感じます。感性というと、かなり曖昧になってしまうのですが、もう少し噛み砕くとそれは「ストーリー」になるのかなと私は考えます。いかに開発物にストーリーを反映させるかということになると、以下の記事にあるような、

creatorzine.jp

たとえばポスターで言うと、一般的な外壁に飾られるのだろうと思って制作したら、実はすごく人通りの多い明るい場所に飾られるものであったとか、自分がその案件の背景や物語を聞き出せなかったことで、クライアントとのすれ違いが起きてしまったことが何度かあったんです。前後の物語を作品に落とし込むことができるか否かが、クオリティに大きな差を生むことを痛感しました。

という考え方が、非常に大事になってくると思います。これは言われたものを作ることだけに終始していては、達することのできない領域でしょう。だから、その制作の過程で交わされるコミュニケーションを丁寧に拾っていく必要があって、これはプロダクトオーナーとかデザイナーとかエンジニアに関係なく、UXを目標としてるプロジェクトに関わる人達は全員持つべき観点なように私は考えています。以下の記事で述べられているような、

popinsight.jp

組織はその形に沿ったプロダクトを生み出してしまいます。例えば、エンジニア部門、デザイナー部門、ビジネス部門がそれぞれ別の目標を追っていたり、離れたところで仕事をしていることはよくあることだと思うのですが、それに合わせたプロダクトになってしまうことがあります。

という視点は、けっこうその通りかなと思います。ストーリーとは突き詰めると自分が属している組織の形であって、いかにプラクティスを実践しようとしても組織が合ってなければ、ほぼ徒労に終わる可能性が高いかなという感じはします。
例えば、どこかの業者にDXを丸投げみたいな話も聞きますが、私的にはそれはほぼ意味をなさないと考えています。自分達のストーリーを自分達で書こうとしない組織は、ユーザーに対しても響くものは届けられないし、おそらく現代のユーザーはそういうものを直感的に見抜いてしまうような気はしています。