とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

2023年に心理的安全性についてあらためて考えてみる

少し前にアメリカのIT企業で、リストラがされたのが話題になりましたね。Googleでもリストラが行われましたが、理由も伝えずいきなり解雇というのは個人的には意外でした。

forbesjapan.com


Googleと言えば、心理的安全性を提唱してきた代表格の企業です。このブログでもかなり前ですが心理的安全性について触れました。その際はいきすぎたいわゆる結果主義ではなく、心理的安全性をベースに対話を通じて成果を評価することで、生産性が上がるのではということを書きました。

toaruit.hatenablog.com


もちろん、心理的安全性を提唱してきたから解雇するなという話ではないです。ただ、心理的安全性を提唱してきた以上は、きちんと対話して納得感が得られる努力はすべきと私は思います。
心理的安全性は今でも重要な考え方とは思いますが、それを高めたことで業績向上を実現できるかは留意すべきかなと感じました。個人的には以下の記事にあるような、

relic.co.jp

組織をおざなりにして事業を急成長させてきた革新的なビジネスモデルや収益性を誇る企業だからこそ、気づいた時に組織がボロボロになっていたりしてその手当の必要を感じたり、事業的に余裕が出てきているからこそ、そういう施策やプロジェクトをやるリソースがあるというケースの方が圧倒的に多い

という意見はけっこうしっくりきていて、成長した結果、組織として何か対策すべきというフェーズで心理的安全性は必要な視点になるような気はしています。
そう考えると、Googleはすでに組織として成熟した状態になっていて、心理的安全性をある程度高めたけど、次の一手が無いまま変化に対応できなかった状況となった可能性も考えられます。以下の記事で触れられているように、

logmi.jp

情報を提供された時に、それに価値があるかどうかを感じなければなりません。突拍子もない意見や情報が出されたとしても、すぐにその価値を理解できるわけではないと。

とあり、自由に発言できるのは良いけど、結局スルーされてしまっては、心理的安全性を高めても効果は薄いかもしれません。いわゆる心理的安全性の形骸化のような状態です。心理的安全性と言うと、「コミュニケーションの頻度を増やす」とか「発言の機会を増やす」というような施策が挙げられがちですが、個人的にはあまりこれは本質的ではないように思います。以下の記事で指摘されているような、

diamond.jp

しかし、心理的安全性は結果的に高まるものであって、心理的安全性を高めることに注力するのは慢性疾患悪化への入口と言えないでしょうか。盲点は、互いに何でも言い合えるようにすることにフォーカスしすぎて、どんな理由があって言いたいことを言い合えなくなっているかがほとんど考えられていないことです。

という視点はかなり大事だと思います。なんとなく情報共有が上手くいってないなと思ったら、心理的安全性を高めるという方策にすぐ走るのではなく、その原因的なものにまずは目を向けるべきでしょう。
けっこうありがちと感じるのが、別に特段言う必要もなかったみたいなことで、これはいくら心理的安全性を高めても引き出せる情報ではないように感じます。なので、そもそもどういう情報が必要なのかという整理を行うことは、大事になってくるように思います。