とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

無形資産について考えてみる

企業の競争優位の源泉は無形資産にある、と言われ続けて早何年だと感じざるを得ないですが、この無形資産についてきちんと認識しようという取り組みはあまり進んでない感じがします。理由として、どう計測するんだっていう大きな課題はありまして、まだ確固たる結論が出てはいないと感じます。ただ、計測できないからどんぶり勘定で良いというわけでもなく、どうやって無形資産を育てるべきか、というのを今回少し書いてみたいなと思います。
まず、無形資産が重要になってきた背景から。下記の落合陽一さんの対談記事が参考になるかと思います。

type.jp


巷のインフルエンサーがけっこう言ってるように、今は「好きなことを仕事にする」世の中にシフトしつつあります。このことについては、私も共感できる部分があります。好きなことを会社で実現できれば良いのですが、そう簡単にはいかないと思うので、個人の活動が今後も増える傾向になる気がします。会社に所属して好きなことが実現できていれば申し分はないですが、おそらくそれが実現できない人も多くいると思います。では個人の信用はどう担保すれば良いかというと、ITの活用が関わってくると思います。それこそ、システムであったり、SNSでの発信内容であったり、つながりや、ポートフォリオなどなど。主にITで扱うこれらの有形でない資産は「無形資産」に位置付けられてきます。つまり、無形資産をいかに蓄積し、自分の強みとして活動のきっかけに活かしていくことが個人として活躍する上では大事でしょう。
これは個人でなく会社にとっても同様で、顧客資産や取引実績であったり、またそれを情報として蓄積するデータの重要性について、ここで書くまでもないでしょう。下記の記事によると、Microsoft社が保有する有形資産は時価総額の1%程度だそう。現金等を含めた総資産も時価総額と比べると3分の1程度です。ではこの時価総額と資産との差分は何かというと、大きなものとしてはBSにのらない無形資産であると言えるでしょう。

toyokeizai.net


現在の会計制度ではこの「無形資産」の価値を正しく測定することが出来ません。だからこそ、その企業の価値が何であるかを、数字に表れない部分で吟味する必要があります。それは個人に対しても同様で、目に見える資産以外でその人の本来の価値がどこにあるかというのを、見極める力が大事になってくるのかなと感じます。