とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

SLAとコンテクスト

AWSなどクラウドのサービスなどをやってる業者は、SLA(Service Level Agreement)と呼ばれるサービス品質を定めてた定義が作成されてます。SLAはITの業界でシステムの稼働に関することが定められることが多いですが、適用範囲を広げるとカスタマーサポートの応答時間などについても、その範囲になってきます。

www.zendesk.co.jp

 

私も前の会社で保守業務をやっていたのですが、SLAとまではいかないまでも、問い合わせ対応の範囲(出来ること・出来ないこと)は定めるようにしました。まぁ、多少お客さんからの無茶ぶりとかもあったので。。
システムに限らず、サービスの品質を定めることは大事になってきてると感じます。度々話題になるモンスターカスタマーみたいなのもいるわけで、そういう人達に対して説明する根拠にもなるからです。日本ではサービスに対して過剰な要求がされる傾向があるので、どこかで線引きしないと収拾がつかなくなるわけです。

japan.zdnet.com


日本では、顧客の高い要求に応えることや、気遣いをきちんとすることが、サービスの品質を上げてきた、という意見については私も同意はできます。ただ、こういったことが実現できる前提が崩れてきてて、きちんとサービスを定義しないと成り立たなくなってる状況まできてると感じます。日本は元々「ハイコンテクスト」な文化といわれていて、いわゆる「言わなくても分かるよね」的な阿吽の呼吸で、物事を進めることができました。ただ、日本でも村社会から都心部での生活に軸足が移ったり、外国人の方もたくさん働くようになったりで、このハイコンテクストな文化は崩れつつあると私は感じます。
モンスターカスタマーが生まれてきてるのも、今までハイコンテクストな文化で通用してきたことが、通用しなくなってることが一因と考えています。自分がサービスに対して不満を感じるなら、二度とそのサービスを使わなければいいだけなのに、なぜ理不尽な要求をしてしまうのか。根底には、自分のコンテクストが相手に伝わるという思い込みがあると感じます。気持ちは分からなくはないですが、もうハイコンテクストでは通用しない現実になってるのではないでしょうか。
今はコロナの影響もあり、コミュニケーション手段としてオンラインにシフトしていって、おそらくオンラインの手段が主軸になっていくでしょう。そうなると、コミュニケーションもローコンテクストにならざるをえず、「言わなくても分かる」がより通じなくなります。なので、サービスについてもあらかじめ品質を定義して、双方合意の上で利用するといったことを心がける必要が出てくるのではないでしょうか。ハイコンテクストの前提で続けていっても、トラブルは中々減っていかないのかなと感じます。

www.trivector.co.jp