とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

DXについて思うこと

昨年に本ブログでDXについて取り上げましたが、
https://toaruit.hatenablog.com/entry/2019/08/21/021225
今年になっても、IT系の記事ではDXについて見かけることも多いです。ただ、DXって結局何やるんだっけ感がかなりあって、今回はそれについて思うことを書いてみたいと思います。
あらためてDXで実現すべきことは2点あって、一点目は「既存業務をデジタルで変えるこ」、2点目は「デジタルを使って新規事業を創出すること」になります。で、DXに取り組んでいる企業の状況を見ると、下記の記事によればPoCの段階である企業が多くあるそうです。また、「社内でDXを浸透させる上でのビジョンや目的設定が未整備」と解凍している企業もけっこうあるみたいで、DXってそもそも何をやればいいのか明確になっていない感もやはりあるようです。

【国内大企業の44%がいまだPoC段階……大規模調査で判明したDX推進の「本当の障壁」とは?】
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2003/06/news007.html

で、上記の記事で私が違和感を感じたのは「DXでPoCって一体どういうこと?」という疑問です。既存業務をデジタル化する目的であれば、課題が見えているのであれば実際にWebサービスやツールを部分的に導入して試行すればよいだけだし、新規事業の創出については正直やってみないと分からないところなのでMVPを作って早く世に出したことが大事と感じます。なお、DXにおけるPoCというのが私はピンときていないので、MVPの作成含めてPoCの検証と、もしかしたら位置付けているかもしれませんが。。
で、その違和感を裏付けるような記事が下記のSIerが噛んでいるという記事。おそらく、DXに取り組んでいる企業はSIerからこんな技術ありますよ、と提案を受けてそれを自社の業務で使えそうなのか検証して試行錯誤しているのではないのかと感じます。

【DXとはSIerへの需要喚起だったんだという事実】
https://www.orangeitems.com/entry/2020/01/30/000109

なので、かなり多くの企業が取り組んでいるであろうDXは、手段と目的が逆になっていてSIerから提示された手段がなぜか目的になっているのであることが想像できます。最初に書いたDXで実現すべきことが、果たしてSIerの提案起点で実現できるのか、おそらく課題や目的が明確になっていない以上、成果を上げるのは難しいのではと感じます。現状の課題はその現場で働いている社員が一番詳しいわけで、そこを起点にデジタル化を進めていくというアプローチにしないと、トップダウンオンリーでDXを進めたところでそりゃ目的意識が浸透するわけないよなと思うわけです。
昨今のコロナの状況は各企業で様々損害が出ていますが、その中でオンラインにシフトしていこうという取り組みがなされています。実際にこのような取り組みはDXとして取り上げられるべきものだと私は考えます。ということで事例をいくつか挙げてみたいと思います。

まず一点目は既存業務のデジタル化です。コロナの状況だと出社が制限されるので、いかにオンラインで業務完結するかという点が大事になってきます。下記のサイボウズの例では、元々リモートは許可していたが全員リモートではなく、コロナのタイミングで全員リモートにしたことから、MTGのやり方やコミュニケーションのやり方を変えていかに情報格差をなくすかという取り組みをしています。

【【サイボウズ社長・青野慶久】全員オンラインで気づいた情報格差。「僕はもう出社しちゃダメだ」と大反省】
https://www.businessinsider.jp/post-212285

2点目は新規事業の創出。下記の例だと、美術館や観光などオフラインでのビジネスをやっているところが、コンテンツ配信に取り組んでいたりします。まだ、ちゃんと収益化まではいってはないと思いますが、コロナ後にも使えるようなコンテンツになるかなと感じます。

【【コロナに負けない! 観光地の取り組み】オンラインを活用したコンテンツ配信で家にいながら観光気分を味わう】
https://www.yamatogokoro.jp/column/corona_casestudy/37938/

DXの元ネタは、実際にビジネスをやっている人達のアイデアや課題から生まれるものと思っています。DXというワードに惑わされずに、オンラインを利用して課題解決をしようという意識で行動すれば、それが自ずとDXの取り組みにつながっていく気はします。