とあるIT屋の独白

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MMTとか日本経済について考えてみる

コロナの影響は少し尾を引きそうで、健康面ももちろん心配ではありますが、経済にもかなりの打撃が与えられるでしょう。政府がとれる対応としては、経済への影響を少なくするために、いかに補償等をすべきかというところが考えどころで。ただ、よく言われる「国の借金」により、政府のふところにも余裕がないのでは、とかなりの人が思われていると感じます。
ということで、今回は少しいつもと趣向を変えて、MMT(Modern Monetary Theory:現代金融理論)を取り上げ、お金がそもそもどのようなものかを少し掘り下げ、経済に対してどのような役割を果たすべきかについて考えてみたいと思います。
MMTは昨年頃から話題になっていて、すごくざっくり言うと下記の記事の通り政府は「国債をいくらでも発行して良い」という考え方です。

【10分でわかるMMT(現代貨幣理論)-基礎や批判をわかりやすく解説】
https://vicryptopix.com/mmt/

国債をこれ以上発行したら、今も政府は借金まみれなのに、より財政がひどい状況になって日本は財政破綻する、と思われる人もいるでしょう。
ただ、MMTでは、そもそも貨幣の位置付けを「貨幣は負債の記録」とし、まずは負債ありきという考え方から、借金に対してそこまでネガティブなスタンスではないという感じです。

MMTが「こんなに誤解される理由」を考えてみた】
https://toyokeizai.net/articles/amp/301802?display=b

「この貨幣は負債」の考え方をもう少し掘り下げたのが、下記の記事です。

【実録!「連帯保証人」になってわかったMMTの本質】
https://toyokeizai.net/articles/amp/302585?display=b

「銀行は通帳に記帳するだけで、貨幣を無から作り出したのである。ただし、この通帳貨幣は、もし会社が銀行に請求すれば紙幣を払い出さなければならない。だから、銀行が作り出した1000万円は、銀行の負債でもあるのだ。」との記述がある通り、今は貨幣を持ち歩かず銀行や電子マネー等で保管している人が多いかと思います。ので、銀行のATMに全額の現金が保管されているわけではありません。
また、「一方の赤字は他方の黒字であり、誰かの債務はほかの誰かの債権であるという複式簿記の常識から出発している。」との記述の通り、国の借金があるということは、他方で誰かが債権を持っているということです。日本でいうと、我々日本国民がこの債権の大部分の持主であって、国の借金すなわち我々の債権ともいえるわけです。少し前に破綻した、ギリシャの「ギリシャ国債は共通通貨のユーロ建てて、ドイツとフランスの銀行が主な債権者」という状況とは異なるわけです。

ギリシャと日本の大きな違い。政府債務のGDP比が大きな日本が破綻しない理由】
https://innovatenation.net/blog/2018/03/26/post-325/

とはいいつつも、国が際限なく借金して現金が市中に多く流れるとなると、もちろん現金の価値が下がっていくので、普通に考えれば物の値段が上がっていくわけです。ので税金や国債償還などの手を使って、現金の流通をいかにコントロールするのかというのがポイントになります。
ただ、日本では、よく言われるような異次元緩和でかなり前から資金の供給量を増やしてはいますが、中々デフレが解消されていません。これは日銀がいくら銀行を通じて資金を供給しようとしても、肝心の銀行が融資しなかったり、我々の資金も貯蓄に向かい、投資や消費に向かってないからと私は考えます。また、現代は生産性が高くモノが過剰に供給される傾向にある状態なので、現金を大量にばらまけば即インフレが起きるかと言われればそうではないといえるわけです。以下の記事も参考になるかと思います。

【異次元緩和でも日本にインフレが起こらない極めてシンプルな事情】
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56970

また、現状のコロナの流行の影響でデフレ傾向がより強まると思います。これは、いくら資金を供給しても、受け取った我々の使い先がコロナの影響で限られてきて、市中に現金が流れにくい状況になるからです。ので、いかに外出が制限された状態で、経済を維持するのか、頭をひねらないといかんなぁと感じるわけです。