とあるIT屋の独白

ITや経営について主に書きます

システムによる統制と粉飾決算

今回は、かなり久しぶりの会計関係のトピック。
少し前ですが、ジャパンディスプレイ(JDI)が、粉飾を行ったことが話題になりました。経理担当者が、着服していたという話題の中での告発だったので、かなり社内は殺伐としていたのかなとは感じます。
で今回の粉飾の手法というのが、古典的といえば古典的なのですが、在庫の過大な計上を行うことです。

【JDIが使ったと思われる「在庫を使った決算の粉飾」とは】
https://www.financepensionrealestate.work/entry/2020/01/20/205402

同じようなことは、過去に話題になった東芝の事件でも行われていて、バイセル取引の不正な運用により在庫の過大計上がされていたりします。在庫を使った不正は、利益の前倒しにすぎないので、いずれどこかのタイミングでツケは回ってきてしまいますが。

【異常な東芝の「バイセル取引」 旧経営陣不問なら、資本市場に禍根】
https://www.weekly-economist.com/2016/11/29/%E7%95%B0%E5%B8%B8%E3%81%AA%E6%9D%B1%E8%8A%9D%E3%81%AE-%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%AB%E5%8F%96%E5%BC%95-%E6%97%A7%E7%B5%8C%E5%96%B6%E9%99%A3%E4%B8%8D%E5%95%8F%E3%81%AA%E3%82%89-%E8%B3%87%E6%9C%AC%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AB%E7%A6%8D%E6%A0%B9/

こういった粉飾の事例は、J-SOX法が制定されてからかなりの期間が経つものの、あまり減っている感じはしません。一つ考えられる要因としては、J-SOXに違反した場合の罪がアメリカのそれよりも軽く、抑止力が弱いからというのが個人的に感じられます。

【J-SOX
https://www.adire.biz/corporate/01_03.html

また、J-SOX対応でシステムによる内部統制の仕組みを導入した会社も、多いかと思います。ただ、システムを導入したら粉飾が防げるかというと、必ずしもそうではないことが発生した粉飾の事例からいえると感じます。
下記の記事にある通り、入力ミスや個人で数値を改竄する、ということに対しては一定の効果が見込めると思います。ただ、組織ぐるみの粉飾となると、どれだけ承認プロセスを設定してもチェックをかけても、システムを使う側がかいくぐろうと思えば回避できてしまうものなので、中々防ぐのは困難になります。

【ヒトの性質で見た内部統制の限界とは】
https://www.shukuzawa.com/diary/daiary061023.html

内部統制は、あくまで行う主体が人である以上、いかに正しく運用していくかという観点でシステムを使わないと、意味のないIT化になってしまうものと感じます。