とあるIT屋の独白

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サイトブロッキングについて今更ながら考えてみる

今年の4月に、NTTが漫画の海賊版サイトへのアクセスをブロックするということを発表しました。今回は今更ながらこのサイトブロッキングに関する対応について考えてみます。

まず、ことの経緯ですが、下記の記事にある通り、政府が海賊版サイトに対するサイトブロッキング要請を行い、NTTグループがこれに応える形で発表したものとなります。また、このようなサイトにアクセスできる状態はいかがなものかと、出版社等がNTTを訴えるような動きがあったことも、ブロッキング対応にふみきった要因の一つとして挙げられています。

 

【ネットの自由を守り、無法地帯にしないために――NTTグループブロッキングを決断した理由】

http://www.itmedia.co.jp/mobile/spv/1805/11/news136_0.html

 

海賊版サイトを放置すること自体はよくないものの、この対応には賛否両論ありました。批判の一つとしてブロッキングの対応は憲法に定められている「通信の秘密」を侵害するという点。対応するのであれば、配信元のサーバ運営会社に削除要請するべき、というのが大まかな主張です。

 

【「日本の法体系ではあり得ない」 海賊版サイトブロッキング問題、弁護士がNTTコムを提訴】

http://www.itmedia.co.jp/news/spv/1804/27/news108_0.html

 

実は上記の記事には重要なキーワードが含まれていて、海賊版サイトには「Cloudflare」というCDNが使われているという点。仮にIPアドレスでブロックすると、まともなサイトもブロックされてしまうおそれがあることを、下記の記事で小飼弾氏が指摘しています。

 

漫画村等に実施されたブロッキングの“脆弱性”にプログラマー小飼弾氏が解説「まともなサイトもブロックの対象に」】

http://news.nicovideo.jp/watch/nw3519966

 

今回、NTTは出版社からは訴えると言われ、政府からはブロックしろと言われ、やむを得ずの対応だったと思いますが、本来的にあるべきは配信元からいかに削除するか、という対応になるのではと感じます。海賊版はもちろんよくないことですが、エンドユーザにとってより利便性の高いコンテンツ流通の仕組みを作ることも、こういった海賊版サイトを抑止する上で考えなければいかんなと思います。